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藤江直人

川崎F・小林悠、手繰り寄せた奇跡。見出した独自のキャプテン像、成長が具現化した劇的2ゴール

退場者を出して一人少ない状況で、なおかつ2点をリードされる絶体絶命の苦境を、後半終了間際に飛び出した怒涛の3連続ゴールでひっくり返す。Jリーグ史上に残る大逆転劇が生まれた14日の明治安田生命J1リーグ第29節。同点&逆転弾をベガルタ仙台のゴールに突き刺し、ホームの等々力陸上競技場に詰めかけたファンやサポーターを熱狂させた川崎フロンターレのキャプテン、FW小林悠の心に生まれていた「ある変化」が、奇跡の勝利を手繰り寄せた。(取材・文:藤江直人)

川崎Fの歴史が凝縮された90分。ルヴァン杯決勝進出、ACLの悔しさ糧に悲願の初タイトルへ

川崎フロンターレが前身のヤマザキナビスコカップ時代の2009シーズン以来、8年ぶり4度目の決勝進出を決めた。ホームの等々力陸上競技場にベガルタ仙台を迎えた8日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦で、退場者を出して一人少ない状況ながら3‐1で勝利。第1戦の黒星から2戦合計スコアで5‐4と逆転した90分間には、大黒柱のMF中村憲剛が経験した6度の“2位”を触媒として、2000年代から紡がれてきたフロンターレの進化の歴史が凝縮されていた。(取材・文:藤江直人)

川崎F・車屋紳太郎、SB転向3年目で挑む日本代表。ハリルが探し求める左利き選手の武器

日本代表に初選出されたDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)が、新たな武器を身につけつつある。セレッソ大阪をホームの等々力陸上競技場に迎えた9月30日の明治安田生命J1リーグ第28節で、コントロールを重視した低速クロスで後半7分のDFエウシーニョのゴールの起点になった。大黒柱のMF中村憲剛も絶賛する身体能力の高さに、稀有な左利きの左サイドバックだからこそ放てる技ありのクロスを融合させて、ハリルジャパンへの定着をかけた戦いに挑む。(取材・文:藤江直人)

ハリルJ、なぜ新戦力は車屋のみ? W杯本大会へ、サバイバルかかる2連戦

ニュージーランド代表(10月6日、豊田スタジアム)、ハイチ代表(同10日、日産スタジアム)とのキリンチャレンジカップ2017に臨む日本代表メンバー24人が28日、日本サッカー協会から発表された。初招集はDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)だけで、これまで招集されながら出場時間が少なかった選手が中心の編成となった理由を、都内で記者会見に臨んだヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉から読み取った。(取材・文:藤江直人)

鹿島を復活させた「3つの要求」。王者に隙なし、J1記録での連覇も視野に

王者・鹿島アントラーズが独走態勢に入った。ガンバ大阪をカシマサッカースタジアムに迎えた23日の明治安田生命J1リーグ第27節で、後半アディショナルタイムにDF植田直通が劇的な決勝ゴールを決めて5連勝をマーク。序盤戦の不振から、大岩剛監督の就任とともに鮮やかなV字回復を遂げた今シーズン。3連覇が途切れた2010シーズン以降では最多となる「61」の勝ち点を獲得し、2位の柏レイソルに8ポイント差をつける圧倒的な強さの源泉を探った。(取材・文・藤江直人)

筑波大学、天皇杯16強敗退も“ジャイキリ”連発で残した衝撃。青年たちが経た大冒険

第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会で、Jリーグ勢相手にジャイアントキリングを演じ続けた筑波大学(茨城県代表)の旋風が止まった。カシマサッカースタジアムでJ1の大宮アルディージャと対峙した20日の4回戦で0‐2と敗れ、1992年のJリーグ発足後では初めてとなる大学勢のベスト8進出を逃した。卒業後にはジュビロ磐田への加入が内定しているFW中野誠也(4年)が“幻”の同点ゴールを放つなど、互角以上の戦いを演じた90分間の価値を追った。(取材・文:藤江直人)

齋藤学、「不安」からの解放。出場24戦目の今季初ゴール、横浜FM「10番」・主将の反撃

横浜F・マリノスのMF齋藤学が、出場24試合目にして待望の今シーズン初ゴールをあげた。柏レイソルを日産スタジアムに迎えた、16日の柏レイソルとの明治安田生命J1リーグ第26節の前半9分に鮮やかなミドルシュートを一閃。レイソルとの上位対決は無念の引き分けに終わり、残り8試合で首位・鹿島アントラーズとの勝ち点差は10ポイントに広がったが、今シーズンからキャプテンと「10番」を引き継いだ27歳のエースはファイティングポーズを失っていない。(取材・文:藤江直人)

浦和、怒涛の4連続ゴールで奇跡の逆転準決勝進出。ぶれなかった「ACL制覇」の目標

浦和レッズが奇跡の逆転勝利をあげて、2008シーズン以来、通算3度目となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のベスト4進出を決めた。川崎フロンターレの先勝で迎えた13日の準々決勝第2戦で、前半19分に先制される苦境から怒涛の4連続ゴールをゲット。2戦合計で5‐4と大逆転を果たしたホーム・埼玉スタジアムでの大一番にかけた3人のベテラン、FW興梠慎三(31)、MF柏木陽介(29)、DF槙野智章(30)が胸中に秘めた思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

大島僚太の急激な進化。中村憲剛が日本代表復帰に太鼓判、川崎Fの背番号10

優勝戦線への生き残りをかけた大一番で、川崎フロンターレのMF大島僚太が眩い存在感を放った。14戦連続負けなしの横浜F・マリノスを等々力陸上競技場に迎えた9日の明治安田生命J1リーグ第25節で、開始14分に今シーズン初ゴールとなる先制弾を一閃。守っても献身的で、球際も激しい守備で3‐0の完封勝利に貢献した。ハリルジャパンから遠ざかること約1年。怖さを増す「10番」に、大黒柱のMF中村憲剛は「得点力がついてくれば、普通に代表でやれる」と太鼓判を押した。(取材・文:藤江直人)

浅野拓磨、殊勲のゴールも強める危機感。約1年ぶりの先発、確固たる居場所を築くために

ハリルジャパンのスピードスター、FW浅野拓磨(シュツットガルト)が生き残りへ向けて決意を新たにしている。6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めたオーストラリア代表戦で約1年ぶりに先発として抜擢され、均衡を破る先制ゴールもゲット。歴史にその名を刻んだが、歓喜のシーン以外のパフォーマンスには到底満足していない。むしろ危機感を強めて、ロシア大会までに残された約9ヶ月間で総合的な力を高め、日本代表のなかに確固たる居場所を築きあげようと自らを奮い立たせている。(取材・文:藤江直人)

長谷部誠とハリルの絆。日本代表不動のキャプテン、代えの利かない大黒柱が胸中に抱くもの

ハリルジャパンが歴史を変えた。ワールドカップ予選で5分け2敗と未勝利だったオーストラリア代表と対峙した、8月31日のアジア最終予選(埼玉スタジアム)で攻守ともに難敵を圧倒。2‐0の快勝劇で6大会連続6度目の本大会出場を決めた。右ひざの手術を乗り越え、昨年11月以来の復帰を果たしたMF長谷部誠(33)はアンカーとして先発フル出場。3度目のヒノキ舞台となるロシア大会へ。4人の歴代代表監督のもとでキャプテンを務めてきた、代役の利かない大黒柱が胸中に抱く思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

長友佑都、決戦直前も周囲に与える余裕。オーストラリア撃破へ、修羅場くくったベテランの経験

勝てば日本代表の6大会連続6度目のワールドカップ出場が決まる、オーストラリア代表とのアジア最終予選第9戦が31日午後7時35分、埼玉スタジアムでキックオフを迎える。帰国直前のセリエAで左太ももに張りを訴え、途中交代していた左サイドバックの長友佑都(インテル・ミラノ)も心配無用とばかりに、冒頭15分間以外は非公開で行われた29日の練習を消化した。来月には31歳になるベテランが描く難敵の攻略法と、胸の奥底に脈打たせる日本代表への熱き思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

C大阪・杉本健勇、満を持しての日本代表招集。悔しさを起爆剤に。進化続ける心技体

勝てば6大会連続6度目のワールドカップ出場が決まる、31日のオーストラリア代表とのアジア最終予選第9戦(埼玉スタジアム)へ向けて、ハリルジャパンが27日に埼玉県内で始動した。27人の代表メンバーのなかで唯一の初招集となるセレッソ大阪の大型ストライカー・杉本健勇(24)は、0‐1で苦杯をなめた26日夜の鹿島アントラーズとの首位攻防戦で募らせた悔しさを起爆剤にして、いままさに進化を遂げている心技体をさらにスケールアップさせていく。(取材・文:藤江直人)

川崎Fが到達した新境地。クラブ史上初のACLベスト4へ、中村憲剛の確かな手応え

日本勢同士の激突となった、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦を川崎フロンターレが制した。ホームの等々力陸上競技場に浦和レッズを迎えた23日の大一番で3ゴールを奪い、守っては1失点に封じてクラブ史上初のベスト4進出へ王手をかけた。鬼木達新監督のもとでなかなかエンジンがかからなかった序盤戦から右肩上がりの復活曲線を描き、クラブの歴史に新たな1ページを刻もうとしている要因を、チームひと筋15年目のバンディエラ、MF中村憲剛(36)の言葉から紐解いた。(取材・文:藤江直人)

家長昭博、笑顔輝く完全復活。苦しみ抜いた末の祝福、フロンターレ進撃のエンジンに

川崎フロンターレのMF家長昭博(31)が、待望の移籍後初ゴールを挙げた。ホームの等々力陸上競技場に首位・鹿島アントラーズを迎えた、13日のJ1第22節の後半27分にあえてスピードを殺した、芸術的な一撃をゴール左隅へ流し込んだ。大宮アルディージャから加入して約7ヶ月。開幕直後に負ったけがもあって、思うような結果を残せなかったレフティーがようやく輝かせた笑顔が、王者を3‐1で撃破し、勝ち点4差に肉迫したフロンターレをさらに加速させていく。(取材・文:藤江直人)

浦和・関根貴大、「レッズのプライドをもって」新天地ドイツへ。万感の思いが緩めた涙腺

浦和レッズからブンデスリーガ2部のインゴルシュタットへ移籍するMF関根貴大(22)が10日、笑顔で新天地へ旅立った。前夜は敵地・山梨中銀スタジアムで行われた、ヴァンフォーレ甲府とのJ1第21節に先発出場。後半38分までプレーし、堀孝史監督体制におけるレッズの初勝利と15試合ぶりとなる完封劇を見届けた。正式なオファーが届いてから10日あまり。ジュニアユースからひと筋で育ったドリブラーの揺れた胸中と決断に至った経緯、ドイツでの決意、そして古巣への思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

神戸・ポドルスキが与える別次元の緊張感。W杯優勝選手と対峙、J1守備陣への相乗効果

デビューから2試合連続ゴールを狙った、ヴィッセル神戸のFWルーカス・ポドルスキ(32)が不発に終わった。敵地・日立柏サッカー場に乗り込んだ5日のJ1第20節で放ったシュートわずか2本、いずれも枠外と精彩を欠き、ヴィッセルも1‐3の逆転負けを喫した。元ドイツ代表の「10番」がもつワールドクラスの左足は、対峙した柏レイソルの若きセンターバックコンビ、中谷進之介(21)と中山雄太(20)のモチベーションをも高め、心技体のすべてで成長を促す相乗効果を早くも生み出している。(取材・文:藤江直人)

大卒後シンガポールのMVP経てJ1デビュー。“逆輸入Jリーガー”、新潟・河田篤秀の軌跡

異色のオールドルーキーが、待望のJ1デビューを果たした。FC東京と対峙した7月30日のJ1第19節で、後半26分から敵地のピッチに立ったアルビレックス新潟のFW河田篤秀(24)。セレッソ大阪U‐18への昇格をあえて断り、阪南大学卒業後にはアルビレックス新潟シンガポールで2年間プレー。昨シーズンのシンガポールリーグMVPを引っさげ、いわゆる“逆輸入”の形で完全移籍したJリーガーの、波瀾万丈の軌跡とポジティブな思考に富んだサッカー人生を追った。(取材・文・藤江直人)

サガン鳥栖、右肩上がりのスポンサー収入。2つの分岐点、現社長就任とCygames社との契約

2016年度におけるJリーグの全53クラブの経営情報が出そろった。3月期決算の3クラブのそれが7月下旬に開示されたなかで、先行発表された5月下旬から顕著だった傾向がさらに鮮明になった。営業収益(売上高)のなかで入場料収入が微増となっている一方で、広告料収入が大きな伸びを示している。J1ではトップの伸び率となる前年度比35.6%増の16億3100万円を計上して、Jリーグ全体のけん引役にもなっているサガン鳥栖の舞台裏を追った。(取材・文:藤江直人)

神戸・ポドルスキ、J1デビュー戦で見せた異次元。W杯優勝戦士、勝利への貪欲な執念と献身

ヴィッセル神戸入りした元ドイツ代表で一時代を築いたストライカー、FWルーカス・ポドルスキ(前ガラタサライ)が鮮烈なJ1デビューを飾った。大宮アルディージャをホームのノエビアスタジアム神戸に迎えた、7月29日のJ1第19節で先制&決勝と挨拶代わりの2ゴールをゲット。日本サッカー界へ衝撃を与えた一方で、32歳のレジェンドが見せた勝利への貪欲なまでの執念と、文化も風習もすべてが異なる新天地・日本へ一刻も早く溶け込もうとする必死な思いを追った。(取材・文:藤江直人)

広島、約10年親しんだ“可変システム”との決別。J1残留に向け採用された4バック

独自の「可変システム」で黄金時代を築いたサンフレッチェ広島が、新たな一歩を踏み出した。J2降格圏に低迷する不振の責任を取り、今月3日に電撃退任した森保一前監督の後任として招聘されたヤン・ヨンソン新監督が、初陣となる26日のFC東京とのYBCルヴァンカップ・プレーオフステージ第2戦で「4‐2‐3‐1」を採用。試合は0‐1で苦杯をなめ、2試合合計で0‐2のスコアで敗退したが、過去の栄光を断ち切り、クラブ一丸となってJ1残留を含めた未来へ向かう姿勢を力強く示した。(取材・文:藤江直人)

ルヴァン杯、17年ぶりJ2クラブ参戦という一大改革。日程面の問題と競技上の公平性は?

Jリーグは25日に都内で開催した理事会で、J1の18クラブが参加しているYBCルヴァンカップに、来シーズンからJ2のクラブを最大2チーム参加させることを決めた。対象となるのは、前シーズンのJ1で16位及び17位となり、J2に降格した2チーム。前身のヤマザキナビスコカップ時代を含めて、J2のクラブが参戦するのは2001シーズン以来となる。大きな改革のメスを入れた意図に迫った。(取材・文:藤江直人)

C大阪・杉本健勇が迎えた覚醒の時。自身初の2桁ゴール。遠回りして、強くなったセレッソ愛

J1の首位を走るセレッソ大阪の大型ストライカー、杉本健勇が覚醒の時を迎えている。浦和レッズに快勝した22日のJ1第22節の開始6分に先制点、2分後に追加点を見舞う大活躍を披露。ゴール数も自身初の2桁に乗せて得点王争いに参戦した。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も注目する24歳のホープのサッカー人生を振り返ると、川崎フロンターレへ完全移籍した2年前と、今シーズンから指揮を執るユン・ジョンファン監督との出会いがターニングポイントになっていることがわかる。(取材・文:藤江直人)

柏を飛び出し、あえて選んだJ2での挑戦。湘南・秋野央樹が一気に加速させる成長速度

異色に映る挑戦が、大きな成果をあげつつある。加入4年目で柏レイソルの主軸を担うようになった昨シーズンのオフにあえて期限付き移籍を志願し、J2への降格が決まっていた湘南ベルマーレの一員になった天才肌の司令塔・秋野央樹。自らに足りない強さと激しさ、前へと攻める姿勢を「湘南スタイル」に求めた22歳のレフティーは、16日の東京ヴェルディとのJ2第23節で豪快なミドルシュートを一閃。待望の移籍後初ゴールを触媒にしながら、成長へのスピードを一気に加速させる。(取材・文:藤江直人)

浦和・関根貴大、海外挑戦という夢。ドルト戦でより鮮明に。いま追い求める3つの標的

浦和レッズが誇るリーグ屈指のドリブラー、MF関根貴大が抱き続ける海外挑戦の夢をより鮮明に膨らませた。ブンデスリーガの強豪ボルシア・ドルトムントと埼玉スタジアムで対峙した、15日のJリーグワールドチャレンジ2017で先発出場。左右の両ワイドから鋭い攻撃を仕掛けた22歳の若武者は、始動&来日直後のドルトムントが万全の状態ではないことを踏まえたうえで、それでも百戦錬磨の猛者たちに冷や汗をかかせた自身の武器をさらに磨いていく決意を新たにした。(取材・文:藤江直人)

恩師との出会いで変わった運命。清水・鎌田翔雅、プロ10年目・170試合目の初ゴール

ひとつの出会いが、選手の運命を大きく変えることもある。8日のガンバ大阪とのJ1第18節でプロ10年目、公式戦では実に170試合目にして待望の初ゴールを決めて、清水エスパルスの勝利に貢献した28歳の苦労人、DF鎌田翔雅のターニングポイントは10年前にまでさかのぼる。ガンバ戦後に祝福メッセージを送った、湘南ベルマーレの曹貴裁監督との知られざるエピソードを紐解いていく。(取材・文:藤江直人)

いわきFCが示した異質の「フィジカル」。7部相当のクラブ、固定観念に抗う挑戦

第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会で衝撃を与えた、いわきFC(福島県代表)の快進撃が止まった。IAIスタジアム日本平で行われた12日の3回戦で清水エスパルス(J1)に0-2で屈し、北海道コンサドーレ札幌(J1)を撃破した2回戦に続くジャイアントキリングを逃した。もっとも、クラブが掲げるコンセプト「日本サッカー界のフィジカルスタンダードを変える」を随所で披露。7部に相当する福島県社会人リーグ1部で異彩を放つハードワーク軍団の挑戦は、まだ序章を終えたにすぎない。(取材・文:藤江直人)

ヴェルディで起きている変革。スペインの智将・ロティーナ監督が選手に与える要求

スペインのラ・リーガで一時代を築いた智将、ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督のもとで変貌を遂げつつある東京ヴェルディ。組織的な堅守をベースに、リスクを排除した戦いで上位に食らいつきながら突入した後半戦は、それまでの戦いから大きな変化が生じている。キャプテンのDF井林章の言葉をもとに、10年ぶりのJ1昇格を目指す、Jリーグ黎明期の盟主の現在地を紐解いた。(取材・文:藤江直人)

C大阪・山村和也、トップ下で開花した才能。ユン監督の慧眼。本人も知りえなかった潜在能力

前半戦を終えたJ1戦線で、最大の発見と言ってもいいだろう。ボランチやセンターバックを主戦場としていた昨シーズンまでと一変して、トップ下として眩い存在感を放っているセレッソ大阪の山村和也。今シーズンから指揮を執るユン・ジョンファン監督の慧眼に導かれ、12年ぶりとなる首位に立ったセレッソを攻守両面でけん引するプロ6年目の27歳の現在地に迫った。(取材・文:藤江直人)

川崎・阿部浩之、覚醒の秘訣。独特のスタイルへの順応。輝き放つチームの中心に

川崎フロンターレの阿部浩之が、28歳の誕生日にキャリアハイとなるシーズン8ゴール目を前半最後の一戦で叩き出した。ホームに浦和レッズを迎えた5日のJ1第13節でワントップとして先発。前半16分にキャプテンのFW小林悠の先制点をマークし、同29分には大黒柱のMF中村憲剛のアシストから2試合連続のゴールをマーク。後半からは左サイドハーフに回り、4‐1の快勝に貢献した。ガンバ大阪から加入して半年足らず。瞬く間に独自のスタイルに順応し、さらに覚醒しつつある秘密に迫った。(取材・文:藤江直人)

これぞ鹿島の底力。大岩新監督のもとV字回復。昨季の二冠王者、復調の舞台裏

昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズが復調してきた。首位に立つ柏レイソルのホームに乗り込んだ2日のJ1第17節で、壮絶なゴールの奪い合いの末に3‐2の鮮やかな逆転勝利をゲット。石井正忠前監督の電撃解任から1ヶ月あまり。ヘッドコーチから昇格した大岩剛新監督のもとで、リーグ戦4連勝と怒涛のV字回復を遂げた舞台裏に迫った。(取材・文:藤江直人)

新生マリノス、“勝利の方程式”。J1連続フル出場新記録の鉄人、中澤佑二が語る「最適解」

横浜F・マリノスが不気味な存在感を放ち始めた。4シーズンぶりの5連勝をマークし、暫定5位でターンしたJ1戦線で、前半を耐え忍びながらスコアレスで折り返し、相手のプレッシャーが弱まる後半にゴールネットを揺らす、2017シーズン版の「勝利の方程式」を確立した。1日の大宮アルディージャ戦で、フィールドプレーヤーでは歴代最長となる140試合連続の先発フル出場を達成した39歳の大ベテラン、元日本代表のDF中澤佑二に進化しつつある新生・マリノスの現在地を聞いた。(取材・文:藤江直人)

Jリーグ、“入れ替え戦”復活の背景。上限クラブ数を「60」と想定した構造改革の視座

Jリーグは27日に都内で開催した定例理事会で、2018シーズンからJ1・J2昇降格決定方法を変更することを決めた。2012シーズンから実施してきた「J1昇格プレーオフ」の形式に、J1の16位チームが参戦する「J1参入プレーオフ(仮称)」が導入される背景には、拡大させてきたJ3の形式や上限チーム数を含めた、Jリーグの将来的な全体像を視野に入れた構造改革が含まれている。(取材・文:藤江直人)

G大阪・井手口陽介、堂安律との絆。宇佐美に続くガンバ生え抜き組がつなぐバトン

育成組織出身のホープ、18歳のFW堂安律が笑顔で旅立った25日の川崎フロンターレとのJ1第16節は、ガンバ大阪が誇るもう一人の若武者、20歳の日本代表MF井手口陽介が眩い輝きを放った夜でもあった。今節のJ1で最多となる41回を数えたスプリント回数を含めた、異次元の運動量でピッチを駆け回ったかと思えば、後半23分にはFW長沢駿の同点弾もアシスト。可愛がってきた後輩・堂安が旅立つ姿に触発され、進むべき道と未来の夢があらためて鮮明になった試合後の胸中を直撃した。(取材・文:藤江直人)

堂安律、笑顔での旅立ち。宇佐美貴史の背中を追って。感謝の念をパワーに変え欧州へ

オランダ1部リーグ・フローニンゲンへ期限付き移籍するガンバ大阪のホープ、堂安律が笑顔で国内最終戦を終えた。ホームの市立吹田サッカースタジアムに川崎フロンターレを迎えた、25日のJ1第16節に先発して後半19分までプレー。終了後に開催された退団セレモニーでは憧れて続けてきたFW宇佐美貴史(現アウグスブルク)に触発され、宇佐美と同じ19歳の夏に海を渡る決意をファンやサポーターに告げた。2020年の東京五輪で主役を期待される左利きのアタッカーは、28日に離日する予定だ。(取材・文:藤江直人)

栗原勇蔵、マリノス一筋CBの誓い。大幅減俸受け入れた33歳、16年目のプロ意識

今シーズン初の3連勝で暫定5位に浮上した横浜F・マリノスで、16年目を迎えた最古参、33歳のDF栗原勇蔵がいぶし銀の輝きを放った。オーストラリア代表DFミロシュ・デゲネクを欠いた、18日のFC東京戦で今シーズン初先発。闘志を前面に押し出す、体を張ったプレーで1‐0の完封勝利に貢献した。このオフに提示された大幅な減俸をあえて受け入れて残留したベテランが、ジュニアユースからひと筋で育ってきたマリノスへ抱く深い愛着を、ピッチの上でしっかりと具現化してみせた。(取材・文:藤江直人)

柏を変えた育成哲学。アカデミー育ちが台頭…ようやく見出した「8+3」の最適なバランス

 J1戦線で暫定首位をキープする、柏レイソルの先発メンバーが異彩を放っている。アカデミー出身の選手が実に8人を数える陣容は、Jリーグ全体でも稀有といっていい。U-12からU-18までのアカデミー全体が「自分たちがボールを保持する攻撃的なサッカー」というコンセプトで統一されたのが2010シーズン。長い年月をかけて追い求めてきた「8+3」、先発11人のうちアカデミー出身者が8人を占める目標を成就させる中で、最適のバランスを得た結果が今シーズンの快進撃につながっている。(取材・文:藤江直人)

無名の大学生からアジア屈指の強豪クラブへ。UAE移籍、塩谷司のサクセスストーリー

昨夏のリオデジャネイロ五輪にオーバーエイジ枠で出場した、サンフレッチェ広島のDF塩谷司がUAE(アラブ首長国連邦)の強豪アル・アインへ完全移籍することが決まった。J2の水戸ホーリーホックからはいあがるサクセスストーリーを描いてきた苦労人は、日本人には馴染みの薄い中東の地でプレーする「海外組」として心技体でさらなる成長を果たし、29歳で迎える来年のワールドカップ・ロシア大会の舞台に立つ夢をかなえる。(取材・文:藤江直人)

乾貴士、勝ち取った「ジョーカー枠」。2年ぶり代表で「楽しむ」を具現化できた3つの理由

約2年2ヶ月ぶりに日本代表復帰した、FW乾貴士(エイバル)の株が赤丸急上昇中だ。スペインの地で磨きがかけかれた切れ味鋭いドリブルと、ブランクをまったく感じさせない周囲とのコンビネーションを、途中出場した7日のシリア代表とのキリンチャレンジカップ2017で存分に披露。13日に待つイラク代表とのワールドカップ・アジア最終予選第8戦(テヘラン)における「ジョーカー枠」をも勝ち取った、29歳が掲げるキーワード「楽しむ」を実践できた3つの理由を探った。(取材・文:藤江直人)

柏、8連勝導いた転換点。怒涛のハイプレス集団への変貌。土台はアカデミーからの継続に

柏レイソルが絶好調だ。浦和レッズをホームの日立柏サッカー場に迎えた4日のJ1第14節では、身長155センチの最小兵Jリーガー、MF中川寛斗が頭で決めた先制弾を守り切って破竹の8連勝を達成。首位の座をキープするとともに、晴れて“暫定”の二文字も取れた。黒星が先行した序盤戦から一転、対戦相手を辟易とさせる怒涛のハイプレス集団と化したターニングポイントを探った。(取材・文・藤江直人)

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