藤江直人
リオ五輪敗退も存在感示した大島僚太と植田直通。ハリルの期待。A代表定着はあるか
2年後のワールドカップ・ロシア大会出場をかけた、ワールドカップ・アジア最終予選がまもなく幕を開ける。9月1日にUAE(アラブ首長国連邦)代表と埼玉スタジアムで、同6日にタイ代表と敵地バンコクで対戦する2連戦に臨むハリルジャパンが25日に発表されるなかで、リオデジャネイロ五輪を戦い終えた手倉森ジャパンの主力たちも、年齢制限にとらわれない戦いに挑むチャンスを静かに待っている。(取材・文:藤江直人)
浦和・西川周作が作り出す独自のGK像。70m級アシスト。最後尾のゲームメイカー
浦和レッズの日本代表GK西川周作が、追い求める理想の守護神像へ一歩前進した。ホームの埼玉スタジアムに湘南ベルマーレを迎えた、6日のセカンドステージ第7節。開始8分に約70メートルの正確無比なロングパスを最前線へ通し、MF関根貴大の先制点をアシストした。レッズ移籍後で初めてマークしたアシストに込められた、11人目のフィールドプレーヤーに対する矜持をあらためてスポットライトを当てる。(取材・文:藤江直人)
久保裕也、五輪招集断念の背景。男子サッカーの特殊性。連盟間の温度差、クラブの利害
リオデジャネイロ五輪のサッカー競技が、日本時間6日の開会式に先駆けて幕を開ける。48年ぶりのメダル獲得を目指す日本は同5日午前10時にキックオフを迎える、ナイジェリアとのグループリーグ初戦に臨む。直前になってFW久保裕也(ヤングボーイズ)の招集を断念するなど、サッカー界におけるオリンピックの低い位置づけを生みだした経緯と背景をあらためて探ってみた。(取材・文:藤江直人)
浦和・李忠成が示した真骨頂。興梠不在時の2ゴール。生粋のストライカーとしての矜持
攻守のキーマン、DF遠藤航とFW興梠慎三をリオデジャネイロ五輪に臨む日本五輪代表へ送り出した浦和レッズに「救世主」が舞い降りた。負ければ今シーズンの年間王者獲得へ暗雲が垂れ込めていた、23日の鹿島アントラーズとのセカンドステージ第5節。後半から興梠が務めるワントップに入り、同点&逆転の2ゴールを奪った元日本代表FW李忠成の熱き咆哮が、ファーストステージで3位に甘んじた「赤い悪魔」を再び加速させる。(取材・文:藤江直人)
オーバーエイジという諸刃の剣。五輪経験者の助言。過去の代表チームに学ぶ手倉森J
リオデジャネイロ五輪に臨む日本五輪代表が、いよいよ決戦の地ブラジルに入る。日本を飛び立つ直前の7月19日と20日に千葉県内で行われた短期合宿では、オーバーエイジの3人が初めて若いチームメイトと対面。それぞれの武器を発揮し、チーム力をアップさせる化学反応を起こす“触媒”となるために、過去の苦い経験を反面教師にしながら、既存のメンバーとの相互理解を急ピッチで深めていく。(取材・文:藤江直人)
芸術的FK沈めた浦和・阿部勇樹。「他の人が蹴ってくれるので」。黒子に徹する主将の存在感
いぶし銀の存在感がトレードマークの男が眩い輝きを放った。9日に行われたセカンドステージ第2節。浦和レッズのMF阿部勇樹が約23メートルの芸術的な直接FKを決めて、チームを連勝スタートに導いた。阿部にとって実に6年ぶりとなる直接FKからのゴール。2013シーズンからリーグ戦の連続フルタイム出場を継続している、頼れるキャプテンをあらためてクローズアップする。(取材・文:藤江直人)
G大阪、中盤の配置転換で脱「宇佐美ロス」へ。トップ下・遠藤、ボランチ・倉田が放つ輝き
ファーストステージで6位に甘んじたガンバ大阪が、復活への狼煙をあげつつある。敵地に乗り込んだ2日のセカンドステージ開幕戦。ブンデスリーガのアウグスブルクへ完全移籍したエース宇佐美貴史を欠いたなかで、トップ下に遠藤保仁、ボランチには倉田秋をすえた新布陣が機能。ファーストステージ覇者の鹿島アントラーズから3-1の逆転勝利をもぎ取った試合内容に、長谷川健太監督も「プラス材料が出てきた」と手応えをつかんでいる。(取材・文:藤江直人)
中島翔哉の帰還。J3でのプレー、長期離脱を経て、帰ってきたU-23アジアMVP
小さなエースが鮮やかな復活ゴールを決めた。U-23南アフリカ代表を松本平広域公園総合球技場に迎えた6月29日の国際親善試合。右ひざのじん帯を痛め、3月下旬のU-23メキシコ代表戦以来の出場となったU-23日本代表のFW中島翔哉(FC東京)は、前半37分に同点弾、同アディショナルタイムには相手の戦意を喪失させるチーム3点目をゲット。164cm、64kgの体に搭載された得点感覚とフォア・ザ・チームの精神をすべて解き放ち、7月1日のリオデジャネイロ五輪代表メンバー発表を待つ。(取材・文:藤江直人【松本】)
鹿島の“8番”・土居聖真。役割とともに引き継がれる背番号。紡がれる常勝の伝統
鹿島アントラーズがファーストステージの頂点に立った。前人未到の3連覇を達成した2009シーズンからリーグタイトルと無縁だったが、伝統と歴史が凝縮された背番号とともに次世代の主軸を託された1992年生まれのプラチナ世代が躍動。入団6年目のMF柴崎岳、DF昌子源、そして稀有な得点感覚を武器とするFW土居聖真はセカンドステージとの完全制覇、そして年間王者獲得を目指して突っ走る。(取材・文:藤江直人)
帰ってきたエスクデロ、ハリルJの秘密兵器か。韓国と中国で研鑚積んだ規格外のパワーFW
J2戦線で異彩を放つ日本人選手がいる。開幕直前に京都サンガへ加入したFWエスクデロ競飛王が、シーズンの折り返しを前にして本領を発揮してきた。2007年6月に日本国籍を取得。浦和レッズを飛び出し、韓国と中国で結果を残してきた27歳は、サンガのJ1昇格、天皇杯優勝と来シーズンのACL出場、そしてハリルジャパン入りを目標にすえながら、4年ぶりとなる日本で大きなインパクトを残そうとしている。(取材・文:藤江直人)
塩谷司、無名の存在からリオ五輪OA招集へ。引き出された潜在能力。元日本代表2人の薫陶
23歳以下の選手たちに先駆けて、8月に開催されるリオデジャネイロ五輪に臨むサッカーのU-23日本代表へオーバーエイジで招集されることが内定した27歳のDF塩谷司(サンフレッチェ広島)。無名の存在から駆け上がってきた、波乱万丈に富んだこれまでのサッカー人生を振り返ると、182cm、80kgの体に宿る類希なポテンシャルにほれ込んだ2人の元日本代表戦士の存在が浮かびあがってくる。(取材・文:藤江直人)
新生なでしこJ、高倉監督が進める世代交代。決断に自信を与える世代別代表監督の経験
高倉麻子新監督に率いられる新生なでしこジャパンが、いよいよ始動する。初陣となるアメリカ女子代表との2連戦(日本時間6月3日及び6日)へ臨むメンバー20人が、5月20日に発表された。常連組が外れた一方で初招集組が5人を数え、平均年齢も約24歳と3月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選から一気に3歳も若返った顔ぶれから、なでしこジャパン初の女性指揮官が描く復活へのシナリオを探る。(取材・文:藤江直人)
柏・監督交代後の快進撃。川崎F戦黒星も視線は前へ。主軸担うアカデミー出身者たち
柏レイソルが面白い。開幕連敗で最下位に沈んだどん底から、下平隆宏新監督のもとで鮮やかに変身。8日の川崎フロンターレ戦こそ強力攻撃陣の前に苦杯をなめたが、それまでの5連勝をクラブ新記録となる「5試合連続完封」で飾った軌跡は決して勢いだけではない。チームに施された改革をさかのぼっていくと、20歳の中谷進之介、東京五輪世代となる19歳の中山雄太が組むセンターバックコンビが浮かび上がってくる。(取材・文:藤江直人)
リオ五輪先発狙う奈良竜樹。川崎Fで培った自信。植田、岩波との競争で描く成長曲線
リオデジャネイロ五輪に挑むU‐23日本代表が11日、ガーナ代表との国際親善試合に臨む。日本時間8月5日のグループリーグ初戦で激突するU‐23ナイジェリア代表を想定した一戦は同時に、18人にしか与えられない五輪切符をかけたサバイバルが本格的に幕を開ける90分間でもある。新天地・川崎フロンターレでレギュラーをがっちりとつかみ取った奈良竜樹は、U‐23日本代表におけるセンターバックの定位置争いに割り込む強い意志と覚悟をもって、ベストアメニティスタジアムのピッチに立つ。(取材・文:藤江直人)
福岡、J1復帰後初勝利の舞台裏。存亡危機からの復活劇。“身の丈補強策”を生む経営会議
昇格組のアビスパ福岡が、待望のリーグ戦初勝利をあげた。FC東京の敵地に乗り込んだ4月29日のファーストステージ第9節。攻撃面でリスクを冒すためにシステムを「3‐4‐3」から「4‐4‐2」に変えて、そのうえで元日本代表主将の井原正巳監督のもとで徹底されてきた守備面のハードワークを全員が体現。スコアこそ1対0ながら、FC東京を内容で圧倒した90分間の背景にある要因を探った。(取材・文:藤江直人)
高倉麻子監督率いる新生なでしこJ発足。年代別代表との兼任。理想的なルートで新時代へ
なでしこジャパンの新監督に、元日本代表の高倉麻子氏が就任した。年代別の日本女子代表を率い、今後もU‐20日本女子代表監督と兼任する形は、実は日本サッカー協会の元会長、岡野俊一郎名誉顧問が「理想的な日本人監督の育て方」として強調していたルートでもあった。なでしこジャパン初の女性監督の素顔を伝えるエピソードとともに、高倉氏に期待がかかる理由を紐解いていく。(取材・文:藤江直人)
浦和が見せつけた確かな変化。川崎を圧倒したプレッシング。悲願のリーグタイトルへ
浦和レッズがこれまでとは異なる「強さ」を発揮している。攻守をより素早く切り替え、前線から激しいプレスを仕掛け続けて相手を敵陣に封じ込める。川崎フロンターレのホームに乗り込んだ4月24日の大一番。リーグ最多得点を誇る攻撃陣を零封し、今シーズンで初めて土をつけて首位を奪取した90分間で見せた無双の戦いぶりが、今シーズンのレッズが搭載した新たなる武器を物語っている。(取材・文:藤江直人)
鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦
今シーズンから鹿島アントラーズでプレーするMF永木亮太。新天地でのリーグ戦初先発が情熱のすべてを注いできた古巣・湘南ベルマーレ戦で、ピッチも慣れ親しんだShonan BMWスタジアム平塚で巡ってきた4月16日のJ1ファーストステージ第7節。不思議な縁を感じながら、2得点に絡む活躍で3対0の快勝劇に貢献した。(取材・文:藤江直人)
中村憲剛が見る川崎Fの新たな境地。厚みの増した選手層。悲願のタイトル獲得へ
川崎フロンターレが絶好調だ。4勝2分けと唯一の無敗をキープしてJ1の首位に立ち、看板である攻撃陣もリーグ最多の14得点を叩き出している。毎シーズンのように期待されながら、優勝の二文字と縁がなかったフロンターレに何が起こっているのか。2、3月度の月間MVPを獲得するなど、好調のチームの中心でひときわ輝きを放つ、キャプテンのMF中村憲剛の言葉をたどりながらその理由を探った。(取材・文:藤江直人)
リオ五輪予選を経た植田直通の変化。「強い相手とやりたい」。更なる強敵を欲する飢餓感
鹿島アントラーズのU‐23日本代表DF植田直通の存在感が際立っている。ファーストステージの5試合を終えた時点でリーグ最少の2失点に貢献している21歳は、ロンドン五輪の覇者・メキシコから白星をあげた3月下旬のポルトガル遠征で物足りなさを覚えながら、アントラーズにおける結果と自らをさらに成長させる強敵を求めてキックオフの笛を待ち続けている。(取材・文:藤江直人)
「怪物」森本の“約束の地”・等々力。11年ぶりJ1ゴールで覚醒するストライカーの本能
かつて怪物と呼ばれたストライカーが、実に11年ぶりにJ1の舞台に帰ってきた。いまもJリーグの最年少出場及び最年少得点記録をもつ森本貴幸。東京ヴェルディからセリエA、中東カタール、J2のジェフ千葉を経て加入した川崎フロンターレで、出場2試合目となった5日の湘南ベルマーレ戦の後半終了間際に決めた劇的な同点弾には、5月に28歳となる元日本代表FWが胸中に抱く決意が凝縮されている。
帰ってきた桜の背番号「8」。新主将就任と2列目サイド起用が引き出す柿谷曜一朗の潜在能力
もっと、もっと背番号「8」が似合う選手になって、いつかは帰ってきたい――涙の旅立ちから約1年半。スイスの強豪バーゼルとの契約を2年半も残す、志半ばの状況で古巣セレッソ大阪に電撃復帰した元日本代表FW柿谷曜一朗が、J2の舞台から捲土重来を期している。キャプテンと2列目の右サイド。移籍前には無縁だった役割をどのように受け止めて、復活への糧に変えていこうとしているのか。
ハンド判定を“ミス”と認めた審判委員会の意図。オープンな議論がもたらすリスペクトの姿勢
J1王者・サンフレッチェ広島と天皇杯覇者・ガンバ大阪が対峙した、2016年シーズンの到来を告げる前哨戦・富士ゼロックススーパーカップで、後半10分にサンフレッチェが獲得したPKが大きな物議を醸した。リーグ戦の開幕が目前に迫った段階で、日本サッカー協会の上川徹審判委員長は件の判定が「ミス」であることを認めている。その意図はどこにあるのか。
G大阪の選手が新スタで抱く決意。宇佐美が覚えた“既視感”は夢舞台誕生の証左か
ガンバ大阪の新たな本拠地「市立吹田サッカースタジアム」が、ついにこけら落としを迎えた。名古屋グランパスを迎えた14日のプレシーズンマッチで3対1の快勝を収め、新たな勝者の歴史をスタートさせた選手たちに、日本サッカー界で初めてクラブ主導で建設された、夢と魅力が凝縮されたサッカー専用スタジアムをホームとして戦っていく意義を聞いた。
トルシエ元監督は招集を後悔。短絡的な議論で見逃されるOA枠のデメリット
決して芳しくなかった前評判を鮮やかに覆し、今夏のリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得したU-23日本代表。6大会連続となる五輪切符を獲得し、4年後の東京五輪へ歴史を紡いだ23歳以下のアジア王者たちの周囲ではしかし、本大会で勝つためにはオーバーエイジを使うべきだという議論が、具体的な選手名を交えながら文字通り百花繚乱状態で飛び交っている。
Jリーグの「秋春制」移行はあるか? JFA会長選挙に見る、カレンダー改革の可能性
史上初の2月開幕に加えて、従来よりも大幅に早まった11月上旬でのリーグ戦閉幕。ようやく発表された2016年のJリーグの全スケジュールを、理事の一人は「理想の限界」と表現した。ごく近い将来に訪れかねない、国内カレンダーの破綻を回避する方策は果たして存在するのか。問題点を整理していくと、31日に投開票を迎える日本サッカー協会の会長選挙にたどり着く。
湘南の新主将に就任した高山。同い年の前主将から受けた刺激と新たな決意
3度目の挑戦で悲願のJ1残留を果たした、湘南ベルマーレの新キャプテンにFW高山薫が就任した。前キャプテンのMF永木亮太(鹿島アントラーズ)、ハリルジャパンにも選出されたDF遠藤航(浦和レッズ)らの主軸が抜けた今オフ。苦戦を余儀なくされるのでは、と不安視されるベルマーレを、持ち前の明るいキャラクターとJ1でも群を抜く運動量の多さでけん引していく。
6大会連続の五輪出場をかけるU-23日本代表。主将遠藤航の多様性がもたらす厚み
今夏のリオデジャネイロ五輪出場をかけた、アジア最終予選を兼ねるU‐23アジア選手権が中東カタールで開幕。6大会連続の五輪出場を目指すU‐23日本代表は、日本時間の13日午後10時半にU‐23北朝鮮代表とのグループリーグ初戦を迎える。苦戦必至と芳しくない下馬評が飛び交うなかで、チームをけん引してきたキャプテンにして精神的支柱、MF遠藤航(浦和レッズ)が胸中に抱いてきた思いを振り返る。
本田を意識せず――。星稜快進撃を支える大橋滉平、G大阪での挫折をバネに抱く大志
ベスト4が出そろい、舞台を埼玉スタジアムに移していよいよクライマックスを迎える第94回全国高校サッカー選手権。開幕前の評価は決して高くなかった前回覇者の星稜(石川)は一戦ごとに強さを発揮し、戦後で8校目となる連覇の偉業達成へあと2勝と迫った。攻守両面で快進撃の中心を担っているのは、大先輩の本田圭佑(ACミラン)と同じガンバ大阪ジュニアユース出身のボランチ大橋滉平(3年)だ。
天皇杯元日決勝がもたらす弊害。拭えぬ不公平感、オフ期間に2ヶ月差がつくことも
来シーズンのJ1ファーストステージが、史上初めて2月最終週に開幕することがすでに決定したJリーグ。セカンドステージ及びチャンピオンシップのスケジュールも年明け1月中旬に発表される予定で調整が進められているが、天皇杯決勝が元日の「風物詩」として定着していく限り、選手たちの休養期間がクラブによってバラバラになる「不公平さ」を、Jリーグは常に抱えていくことになる。
Jリーグ改革初年度の課題と収穫とは? 疑問残る2ステージの意義と微調整のCS
今シーズンから新設されたJリーグチャンピオンシップに、早くも改革のメスが入った。シード順を決める際のプライオリティーに来シーズンから微調整を施すことで、批判が集中した「わかりづらさ」を解消させるためだ。その一方で、依然としてファンやサポーターからの反対意見が根強い2ステージ制に対して、Jリーグの村井満チェアマンは「今後数年間は継続させる」と明言している。
澤穂希が神頼みをした1試合。なでしこジャパン“以前”の分岐点
突然の現役引退発表で日本中を驚かせた、なでしこジャパンのレジェンド澤穂希(INAC神戸レオネッサ)。15歳4ヶ月で日本女子代表デビューを果たし、男女を通じて日本歴代最多となる205試合に出場してきた軌跡を振り返ると、生きるか死ぬかの大一番で放たれた圧倒的な存在感にたどり着く。澤自身が「もっとも辛かった」と位置づける2004年4月24日の北朝鮮女子代表戦は、日本女子サッカー界を絶望の淵から救った魂の90分間として、2011年の女子ワールドカップ制覇とともに未来永劫に語り継がれていく。
これでいいのか! JリーグのCS・PO。多くの犠牲と失われた公平性。求められる“100点”に近づける努力
年間総合勝ち点1位のサンフレッチェ広島の年間チャンピオン獲得と、元日本代表主将の井原正巳監督に率いられるアビスパ福岡のJ1昇格決定で幕を閉じた2015年のJリーグ。従来とは異なる開催方式で新設されたチャンピオンシップで見せた盛り上がりは、歯を食いしばりながら過密日程を戦い抜いた選手たちの頑張りのうえに成り立ったことを忘れてはいけない。J1昇格プレーオフ決勝のスタジアム選定で露呈した中立性を含めて、来シーズンへ向けた課題は山積している。
C大阪に生まれた“開き直り”。「生きるか死ぬか」で挑む運命の一戦
シーズン終盤から9連勝と攻守両面で波に乗るアビスパ福岡と、リーグ戦の残り1試合で指揮官交代という荒療治に打って出たセレッソ大阪。対照的な両チームの激突となったJ1昇格プレーオフ決勝が6日午後3時35分、ヤンマースタジアム長居でキックオフを迎える。下馬評ではアビスパ優位は動かないが、対するセレッソにもリーグ戦では見られなかった「ある変化」が生じてきている。
来季導入J3への“セカンドチーム参戦”。U22選抜の課題を教訓に、村井チェアマンが込める期待
J1およびJ2 クラブのセカンドチームにあたる「U‐23チーム」が、来シーズンからJ3へ参戦することが決まった。Jリーグから定めた最大「4」枠に手を挙げるのは、果たしてどのクラブか。興味が尽きない一方で、2年間におよんだJリーグ・アンダー22選抜の活動を終了させ、もうひとつの施策「育成マッチデー(仮称)」を同時にスタートさせる点に、若手育成に頭を悩ますJリーグの現実が凝縮されている。
歴史に名を刻んだ佐藤寿人。得点数だけでないその魅力、自らが受け継ぎ未来へとつなぐ思い
セカンドステージ優勝と年間総合1位をダブルで決めた22日の湘南ベルマーレ戦で、8試合ぶりとなるゴールを決めたサンフレッチェ広島のFW佐藤寿人。子どものころから憧れてきたFW中山雅史(JFLアスルクラロ沼津)がもつJ1歴代最多得点記録157についに並んだ171cm、70kgの小さなストライカーが、歴史に残る存在となった理由を3つの側面から探った。
金崎が5年ぶり代表復帰戦で見せた新たな姿。心技体が完璧なハーモニーを奏でた鹿島での日々
敵地で12日に行われたシンガポール代表とのワールドカップ・アジア2次予選。約5年ぶりに日の丸を背負ったFW金崎夢生は、前半20分に代表初ゴールとなる鮮やかなボレーを決めてチームを快勝に導いた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の先発抜擢に応えた理由をたどっていくと、今シーズンの開幕直前に加入した鹿島アントラーズで刻まれてきた、心技体のすべてが完璧なハーモニーを奏でた日々に行き着く。
鹿島の次世代担う昌子源。“常勝軍団”復活へ、若きDFリーダーが背負う使命感と覚悟
10月31日に埼玉スタジアムで行われたナビスコカップ決勝でガンバ大阪を3対0で一蹴し、大会最多となる6度目の優勝を果たした鹿島アントラーズ。2012年シーズンのナビスコカップ制覇から約3年。Jリーグ史上で歴代最多となる通算17個目の国内主要タイトルは、22歳のディフェンスリーダー、昌子源とはじめとする次代を担う世代の成長と自覚を加速させ、常勝軍団の哲学と伝統を紡がせていく。
山形、1年でJ2降格も…石崎監督の続投に見える「責任」の取り方。地方クラブに植えつけた我慢の精神
4シーズンぶりに挑んだJ1で粘り強い戦いを演じながら、2試合を残してJ2への降格が決まったモンテディオ山形。大分トリニータ、徳島ヴォルティスに続いてJ1昇格プレーオフ覇者が1年で逆戻りする結果となったが、モンテディオは降格が決まる前に石崎信弘監督の続投を発表している。モンテディオを生まれ変わらせた「昇格請負人」の手腕を振り返ると、クラブが未来を託す理由が見えてくる。
Jリーグが直面する“スケジュール破綻”の危機。2S制導入で生じた『変則』、今こそ夏春制移行の議論を
いよいよ残り2節となったJ1のセカンドステージ。サンフレッチェ広島が王手かけた覇権の行方、サンフレッチェと浦和レッズが同勝ち点で並ぶ年間総合1位争い、そして年間王者を決めるチャンピオンシップへ。今シーズンから導入されたクライマックスへ向けて盛り上がっていく当初の青写真に、飛び石となる変則スケジュールが冷や水を浴びせている。有効な解決策はあるのだろうか。
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