価値ある富山戦の3点目
今季初の連敗から抜け出した富山戦。残留争いの渦中にあるだけに、1点差では気持ちを切らさなかったアウェイチームにとどめを刺したのが65分の宇佐美貴史のゴールだった。
今季初の連敗から抜け出した富山戦。残留争いの渦中にあるだけに、1点差では気持ちを切らさなかったアウェイチームにとどめを刺したのが65分の宇佐美貴史のゴールだった。
「後半前に監督から3点目を取ってこいと言われていた。指示通り、突き放す3点目を取れて良かった」
こう笑顔を見せた背番号39の今季11得点目はGKのニア頭上をぶち抜くファインゴール。「ファーでもニアでもどちらも行けたけど、ニアに蹴った」という技術力の高さもさることながら、宇佐美が確かな進歩を遂げていることを物語る一撃だった。
7月にG大阪に復帰後、順調にゴールを積み重ね、そのいずれもが好シュートだったが、ボールを持てば秀逸な存在であることは十代当時からJ1勢にも披露していた。
J2で得点を量産するのは、その天賦の才を考えればある意味で当たり前――。ドイツでの不遇の時期に改めてクローズアップされたオフザボールの質を向上させることこそが、宇佐美に求められているものだったが、目に見えた意識改革はなかなか見えてこなかった。
それだけに、価値を持つのが富山戦の3点目だった。内田達也が中央でボールを持つと、斜めへのフリーランで自らボールを呼び込み、相手マーカーを振り切っての一撃は、課題だった動きの質の高さで奪ったゴール。「オフ(ザボール)で勝負して、それで点まで行けているので続けたい」と宇佐美も手応えを口にする。