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酒井高徳、飛躍の原点を語る【ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.27】

現在シュツットガルトのレギュラーとして活躍する酒井高徳。少年時代は決して恵まれた体格ではなかった彼は、いかにして成長し、ブンデスリーガの強豪でポジションを掴むまでになったのか。
『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.27』「僕らがサッカーボーイズだった頃」にて、酒井高徳本人、父・一幸さん、そして少年時代のコーチ今鷹昭三氏がインタビューに答えた。

text by 元川悦子 photo by Ryota Harada


シュツットガルトで不動の地位を得た酒井高徳【写真:原田亮太】

シュツットガルトでレギュラーを獲得。しかし代表では…

 まだ暑さの残る2012年9月6日。4万人を超える大観衆が集まった東北電力ビッグスワンスタジアムがひと際、大きな歓声と拍手に包まれた。背番号6をつける地元・新潟出身のDF酒井高徳(シュツットガルト)が後半34分、ベテラン・駒野友一(ジュビロ磐田)と交代し、記念すべき国際Aマッチデビューを飾ったからだ。

 2012年1月にドイツ・ブンデスリーガ1部のシュツットガルトへ移籍し、華々しい活躍を見せはじめて以来、日本人の父・一幸さん、ドイツ人の母・アンジェリカさんを両親に持つ彼には「ドイツ代表待望論」が現地で高まりつつあった。しかし本人は「自分はずっとA代表を目指してきたし、早く初キャップを踏みたいと思っていた」と日本代表への強いこだわりを持ちつづけてきた。その念願が生まれ育った新潟で叶い、彼自身も家族も感慨ひとしおだったに違いない。

 ただ、ザックジャパンのサイドバックは最大の激戦区。欧州組の先輩である長友佑都(インテル)に内田篤人(シャルケ)、二度のワールドカップを経験している駒野、ロンドン五輪代表でも定位置を争った酒井宏樹(ハノーファー)と能力の高い選手がズラリと並ぶ。2シーズン目のブンデスリーガに常時出場している酒井高徳といえども、代表には呼ばれたり呼ばれなかったりだ。2012年10月の欧州2連戦、11月のブラジルワールドカップアジア最終予選・オマーン戦(マスカット)も追加招集されるにとどまった。

 そんな苦境の最中にあっても、本人は「それでも代表に行けば学べることが多い」とポジティブな姿勢を決して忘れない。熾烈な生存競争を強いられる息子のことを両親は遠い日本からつねに気遣っている。「ワールドカップ出場は高徳の大きな夢。それを叶えられたら一番いいですね」と父・一幸さんは息子の成功を祈っている。

 そんな家族の思いを胸に、酒井高徳は今日も明日も、自己研鑽に励む……。

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