チェルチに振り回されたインテル
「ローマ戦は、決して悪い内容ではなかった。ただ、全体的にラストパスの精度をもっと上げて欲しいと感じた」
トリノ戦の前日会見で、マッツァーリ監督はそのようにチームへの要望を語っていた。そこは、前節のローマ戦で得点を演出出来るチャンスを活かせなかった長友にも当てはまる。日本代表の遠征でも150分近くプレイし、ベラルーシ戦では右足を痛めて途中交代とコンディション面は厳しいが、さらなる向上を見せてもらいたいところだった。
ところがトリノ戦では、インテルは攻撃の精度云々と言っている場合ではなくなるほどのハンデを負うことになった。前半6分、左クロスに反応して飛び込んだGKハンダノビッチが、相手FWチェルチと接触。得点機を阻止したという判定で主審はレッドカードを提示した。
その後、交代出場した第2GKのカリーソはPKストップをやってのけたが、これでインテルは残りの80分以上を数的不利のままで闘わなければいけなくなった。そして、そのしわ寄せはサイドに来る。マッツァーリ監督下のインテルは個々の綿密なカバーリングによって成り立っているが、枚数が足りないとズレて来る。
全体が振り回され、タイデルやファン・ジェズスのサポートも十分ではなくなる中、長友自身も守備的にならざるを得なくなった。対面の右アウトサイド、ダンブロージオが高い位置を取って仕掛けて来る。彼にマッチアップをしながら、裏のスペースもケアをしなければならない。ドリブル突破の得意なイタリア代表のチェルチが流れて来るからだ。
しかし、出られる時には思い切って前線に出る。20分にはグアリンのシュート性のボールに反応し惜しくも触り損ねる。一方45分、飛び出したところにカンビアッソからミドルパス。これは寸前でDFにカットされるが このCKからグアリンが豪快なオーバーヘッドを決めて同点に追いついた。