「ゴールに繋げるシュート、パスを増やしていかなきゃ」
縦縞に、デルピエロの10番が目立った。2015年7月25日、ドルトムントはユベントスとテストマッチを行う。昨季のチャンピオンズリーグ以来の顔合わせとなったが、物々しい気配はない。あくまでプレシーズンの試合だった。
場所はどちらのホームでもない、スイスのザンクトガレンである。ユベントスのレジェンドのユニフォームを着たイタリア人は、一人や二人ではなかった。言って見れば、この試合は“お祭り”だったのだ。
ドルトムントは前半を1-0で折り返した。40分に、ムヒタリヤンの左からの折り返しをオーバメヤンがダイレクトで押し込んだ。64分には、カウンターからロイスが独走し、そのままゴールを決めている。
ユベントスは前半を4-3-3で、後半を3-5-2で臨んだ。2つのシステムを試している。前半は主にピチュチェクの裏を突く形でカウンターから攻撃を仕掛けたが、後半は、特にロイスに2点目を決められてからは、徐々に足が止まっていった。
後半からの出場となった香川真司は「最初は試合に入りにくかったですけど、後はスペースがありすぎた」と振り返った。ロイスに追加点を奪われ、ユベントスの全体の運動量が低下したことで、香川達はペナルティエリアの手前やサイドで比較的余裕を持ってプレーすることが出来るようになった。
香川も67分にはドゥジアクとエリアの手前でワンツーを試み、81分には左サイドにいるキルヒに大きくサイドチェンジしている。しかし3点目、4点目は奪えない。
「ゴールに繋げるシュート、パスをもっと増やしていかなきゃペナルティエリア内では特に怖さはないのかと思います」
香川は自分自身をそう評した。ユベントスの動きも止まり、プレーのための時間も生まれていた。しかしそんな中で「どうやってゴールに繋げるか、チャンス、シュートに繋げるかっていう意味では、その一個前を担っていた」という。つまり相手にとっての「怖さ」を少し欠いていたということになるのかもしれない。