リーグの成功に不可欠なスター選手の存在
武藤嘉紀とレナトの退団は、日本サッカーの現実や、Jリーグにいるタレントの流出を止めるために必要なことを大いに表している。
年々上がっているJリーグをはじめとする日本サッカーのレベル。全体的なインテンシティーは未だ発展途上である一方(川崎フロンターレがボルシア・ドルトムントに粉砕されたのが良い例)、試合における戦術や技術的なレベルは格段に向上し、それに応じて下部組織(ユース)では熟達した選手たちを生み出し続けている。
Jリーグのレベルの成長を示す明確な事実がある。20数年前、ジーコ、リネカー、リトバルスキーなどの有名選手はいずれも日本にやって来て試合を支配していたが、現在はフォルランが適応に苦労したように、正直なところ、ピークを過ぎたワールドクラスのスーパースターはJリーグのなかで平均的な選手に見えるようになった。
もっとも、フォルランは他の選手にはないクオリティーをもっていた。それは、彼が生粋の人気選手だということだ。欧州のトップリーグ及びW杯で成功を収めた歴史やブロンドのドレッドヘアをもつウルグアイ人は、Jリーグのファンを自然に引き寄せる磁石のようだった。
フォルランのような触発者の存在は、リーグの成功において重要な要素となる。反例を示すのであれば、ブンデスリーガはここ数年で組織力、集客、外国人枠の撤廃によって世界のベストリーグになったかもしれない。
しかしながら、世界最高のリーグとして指を差す者は誰もいない。その理由は、全体的に人気選手が欠けているからである。バイエルン・ミュンヘン(ロッベン、リベリー、レバンドフスキなど)所属のスター選手や、W杯で優勝したばかりの代表選手を除けば、ブンデスリーガでどんな選手がプレーしているかを熟知する人は多くない。