「真のカンボジア」は日本戦でベールを脱ぐ
W杯アジア2次予選に関する日本の報道を見ると、カンボジアに対する軽視が目に付く。たしかに、これまでの実績に加えて2次予選初戦ではホームでシンガポールに0-4と大敗していることを考えれば、当然の見方かもしれない。
だが、今のカンボジアを単に「弱小国」と切り捨てるのも危険だ。急成長を遂げる東南アジアの中にあっても、今まさに劇的な変化を遂げようとしている国だからだ。
先月、「東南アジアのオリンピック」と呼ばれる東南アジア競技大会が行われた。オリンピックと同様にサッカー競技はU-23の代表チームで争われるこの大会で、カンボジアはその「化けつつある姿」を披露した。
グループリーグの初戦でフィリピンを終始圧倒して3-1と完勝すると、インドネシアには1-6と大敗するなど脆さも見せたものの、最終戦では準優勝したミャンマーを相手に3-3のドローに持ち込むなど健闘した。
同大会は2年に一度開催されているが、2000年代に入ってからの記録を振り返ってもカンボジアが挙げた白星は2009年大会の一つのみ。相手は当時、国際舞台に登場して間もなかった東ティモールだ。
それだけに、グループリーグ突破こそならなかったが、今大会のカンボジアが見せたパフォーマンスは小さくない驚きだった。
注目しなければならないのは、この大会の日程がW杯アジア2次予選の最初の2試合と重なっていたことだ。東南アジアでは同大会のプライオリティが非常に高いため、ほとんどの国が東南アジア競技大会にベストメンバーを送り込んだ。そして、その影響が最も大きかったのがカンボジアだ。
急激な成長によって、現在のカンボジア代表は主力のほとんどをU-23世代が占める。そのため、2次予選初戦のシンガポール戦は大幅な戦力ダウンを余儀なくされ、第2戦では一部の選手がU-23代表から急遽加わったものの準備期間が短かった。つまり、本来のカンボジアは次の日本戦でベールを脱ぐのだ。