本来なら通るはずのパスが通らない
決め手の差が2-0という結果に表れた試合だった。ザッケローニ監督は「チャンスを作ったが、決めきる力がなく、チャンスの数にゴールの数が結びつかなかった」と振り返る。日本は前半31分に香川がGKのストイコビッチと1対1になるなど、何度か好機を逸し、失点後も同点の可能性があった。
しかし、日本が崩しかけた場面でもチェルシーのイバノビッチとマンチェスター・シティのナスタシッチが組むセンターバック・コンビに阻まれたことは、事実としてしっかり受け止めて今後に活かしていくべきだ。
特にワールドクラスの洗礼をダイレクトに受けたのが柿谷だ。後半9分に反転気味のトラップからシュートを放ち、惜しくもGKの正面に飛んでしまったのが、フィニッシャーとしては唯一の見せ場だった。
序盤はほとんど前線にパスが出てこなかったが、日本の中盤が落ち着いたことで、本田や長谷部、香川からタイミングをはかった縦パスが出てくる。「みんなからいいパスが来るので、動き出しさえ良ければ」。そう語る柿谷は攻撃の流れに合わせ、相手のセンターバックを外した瞬間にボールを受けようと、鋭い動き出しを繰り返した。
しかし、イバノビッチとナスタシッチにうまく挟まれ、本来なら通るであろうパスもGKに直接取られてしまうなど、ゴール前の能力を発揮させてもらえない。サイドを起点とした攻撃に連動して裏を突きかけても、20歳でシティの主力を担うナスタシッチに先回りされた。
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