少し前の話になるが、J2に参入して1年目のVファーレン長崎がJ1ライセンスを取得したことが話題になった。
審査機関からの発表によれば、競技、施設、財務などの基準を全て充足していることからJ1ライセンスが交付されたという。
J2クラブでJ1ライセンスが交付されない理由の多くに施設基準を満たせない点がある。水戸や北九州の事例がそれに該当する。
長崎のホームスタジアムは長崎県立総合運動公園陸上競技場で、これは2013年初頭に改修が完了した陸上競技場だ。
サッカー専用でないことは少々残念だが、2014年に長崎で開催される国体や、Jリーグのクラブライセンス制度の基準などもしっかり踏まえて改修されたことから、今後代表戦も開催できるだけの仕様になっているのだそう。
だから長崎は詳細な施設基準(トイレの個数、屋根の面積)などについても審査機関から問題点を指摘されなかった。
10月上旬現在、長崎はJ2参入1年目ながら堂々と昇格プレーオフ圏内(6位以内)を維持している。無事にライセンスさえ取得できればJ1昇格への挑戦権を手に入れられるだけに、長崎サポーターの喜びもひとしおだったようだ。
以下は、J1ライセンスが交付された日のネットの主な反応。
・「[祝]J1ライセンス交付決定だと」
・「キターー(゚∀゚)ーー!! まずは第一関門突破! 次は何としてでもPO圏内に噛りつく!!!」
・「め!で!た!い!!!! でも動員数これでいいんかw」
・「ライセンスキター! これでJリーグ流行語の「長崎はライセンス持ってるの?」が無くなるのか!」
・「国体のためと言いながら、J1仕様、代表戦可能なスタにするために、県も研究してたからね」
J2参入1年目にもかかわらずチームがJ2の上位を維持できるのは高木琢也監督を中心に一つにまとまっているからだろう。そして90分間、愚直なまでにチーム全員がハードワークできるだけの走力が光る。
チームメイト同士の仲も非常に良く、チーム全員で宴を共にする機会も頻繁にあるようだ。サッカーメディアでは通説となっている“バーベキュー(決起集会)をするチームは危ない”なんて説は長崎にしてみればどこ吹く風だ。
今季序盤、上位に食い込んでいる時期には、
「まあ、そのうち落ちてくるだろう」
などという見方が、他チーム関係者やサポーターの大半だったが、ここまで上位に居続けているのだから、もはや実力と認めるほかないのではないだろうか。
これまでのJ1昇格最短記録は、2006年の横浜FCのJ2参入6年目。当時の横浜FCの指揮官は、そう、高木琢也監督であった。
「V・ファーレン」の“V”はポルトガル語で勝利を意味するVITORIA(ヴィトーリア)とオランダ語で平和を意味するVREDE(ブレーダ)の頭文字、”ファーレン”(VAREN)はオランダ語で「航海」を意味する。
長崎のJ2参入1年目の航海、その結末はいかに――。
【了】
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