「こうではなかった」。昨季のミランを語る会長
「私がアマチームで監督をしていた時、後半にリードをしていても攻めろ、と指示をしていた。その目的はボールキープだ。リードをしている時、『キープしろ』とみな指示を出す。ただそこでペースを落として守りに入れば、相手につけこまれてしまう。一方で攻撃を繰り返せば、相手はファウルをして自滅する。ミランとはこういうチームであって欲しいのだ」
3日、ミランのシニシャ・ミハイロビッチ新監督の入団会見には、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長が同席していた。正直、新監督のお披露目というよりは会長が主役になっていた会見後の“囲み取材”も含め一時間近くに及んだ取材の中で、ベルルスコーニの発言時間は大まかに見て7割を超えていた。
目的は「自分が陣頭指揮を執ってミランを再建する」というアピールに他ならない。なぜフィリッポ・インザーギ前監督のサッカーはそぐわないと考えたのか、カルロス・バッカやルイス・アドリアーノを補強しようと思ったのはなぜか、ということを明快に説明し、メディアとファンに訴えていた。
さすが、メディア王から首相に上り詰めた政治家。発言の内容はともかく、表現はわかりやすかった。
「我々も、昨シーズンのチームは競争力があると信じていた。ところがサッカーの内容は相手に合わせてしまうし、前線には相手を押し切る力に欠けた。かつてのミランはこうではなかったはずで、当時に戻したいと考えた」
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