鄭氏(左)と談笑する故長沼氏【写真:Getty Images】
日本サッカー連盟(JFA)の元会長・故長沼健氏(2008年死去)は2000年、2002年日韓ワールドカップ(W杯)招致における投票の謝礼として南米サッカー連盟(CONMEBOL)に150万ドル(約1億8500万円)支払っていたという。19日、スペイン紙『アス』が伝えている。
衝撃の事実をアスに証言したのはCONMEBOLの元職員“X”氏。インタビュー動画の中でX氏はCONMEBOLの元会長でありFIFAの副会長を務めたこともあるニコラス・レオス氏が行ってきた不正を暴露。CONMEBOLを構成する各国に分配されるはずだった金額を横取りした事件の顛末を語り、そこで長沼氏の名前が出てきた。
X氏によれば、CONMEBOLに送られた150万ドルは同連盟を構成している10ヶ国に均等に分配されるはずだったが、レオス氏は自身に120万(約1億5000万円)、事務総長のE・ルカ氏に20万ドル(約2500万円)、FIFAとのパイプ役ゾラナ・ダ二ス氏に10万ドル(約1250万円)を各自の口座に渡るように仕向けたという。
実際にX氏は同紙に、CONMEBOLがこの3人にこれらの金額を送金していた事実を裏付ける極秘書類を提出している。
書類は2000年2月3日に作成されたもの。ブラジル銀行支店長宛に出されたもので、最後にレオス氏のサインがある。「東京・日本から送られたCONMEBOL名義の150万ドルを次のように振り分けたい」と書かれており、レオス氏を含む3人の分配額が書いてある。
ただ、この書類には長沼氏の名前はない。また動画ではX氏の全体像は黒く、顔にはモザイクがかかり、正体は明らかにされていない。
2002年W杯で日本は当初、単独開催に動いていた。南米票は確保していたが、韓国の鄭夢準氏が強力な政治力を発揮し、1996年に日韓共催となることが決定。開催地をめぐる投票は行われていないため、謝礼というのは不可解だ。
一連のFIFA汚職事件では数々の疑惑によりレオス氏は渦中の人だ。日本はクリーンなイメージで知られているが、この泥沼に巻き込まれてしまうのだろうか。
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