今夏、多くのサッカーファンが振り回された大騒動といえば、Jリーグの大会方式変更の議論だろう。少し月日を遡った話題になるが、大事な話題であるで改めて記しておきたい。
Jリーグは9月17日の理事会で2015年シーズンからJ1リーグの大会方式を現行の1シーズン制から、2ステージ制及びスーパーステージ及びチャンピオンシップを開催した上でチャンピオンチームを決める方式へ変更することを決定した。
こうして書くだけでも大会方式がかなり複雑になったように思えるが、現に複雑になったといっていい。2015年シーズンからJ1リーグは複雑な大会方式によって年間優勝チームを決めることになる。
なぜこのような複雑な大会方式に変更されたのか。それはJリーグが今までのように稼げなくなり、93年創設以来の危機に瀕しているからだ。
Jリーグをあまりご覧にならない方々には、現在の日本代表の盛り上がりぶりから想像するに、その土台となっているJリーグが危機に瀕しているなど信じられないかもしれない。が、それは現実のようなのだ。
様々な社会的要因などの深刻な状況が重なり、Jリーグは以前よりも集客がしづらい状況になっている。Jリーグの発表によれば、Jリーグの年間予算はピーク時でおよそ130億円だが、来季は今季よりも10億円近い減収という試算が出たという。
これらのJリーグの現状は、9月23日(日)のテレビ朝日『やべっちFC』でも放送され、お茶の間に届けられた。『やべっちFC』といえば、ご存知、人気お笑い芸人のナインティナインの矢部浩之さんがパーソナリティを務める人気サッカー番組。ライトなサッカーファンから、スポーツに興味がある一般層まで幅広く視聴する大衆サッカー番組で、Jリーグの危機的状況がお茶の間に伝えられた意義はとても大きいだろう。
この番組内でJリーグのトップである大東和美チェアマンは、
「新たな大会方式を採用することによって、地上波テレビで取り扱う回数も増える。また新たなスポンサーが出てくることで(2013年度より)約10億円の増収を見込んでおります」と報告。
番組は新しい大会方式の仕組みを説明するなど経緯を伝えた後、Jリーグ各チームのサポーターたちがスタジアムで大会方式変更に対して反対する様子を映像で流した。サポーターに対して十分な説明がないまま、大会方式の変更がなされたためだ。
これに対して大東チェアマンは、
「結果として説明不足の感は否めないと思いますけれど、私自身も出向いて、みなさんにご説明申し上げたいと思います」
と発言。そして、カメラ目線に向き直ってこう続けた。
「Jリーグを支援していただいくみなさん、そして全国のファン、サポーターのみなさん。共にJリーグを応援してください。私も一生懸命、皆様と一緒になって戦っていきます。よろしくお願いします」
今年5月に大会方式変更との一報が流れてから、この議論は多くのサポーターをも巻き込んで大騒動となった。事態が深刻さを深めながらも一切顔を出してこなかった大東チェアマンだが、この番組内で初めてテレビカメラの前で説明を行った。
正直なところ、もう少し早くこういう姿勢を見せていれば、あれほどの大騒動にはならなかったのではないかと思えてしまうのだが、今はもう悔やんでいても仕方がない。今後の大東チェアマンの言動に注目したい。
【了】
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