5年ぶりに敗れた欧州王者
試合終了のホイッスルと共に、勝者と敗者の強烈なコントラストがスタジアムに映し出された。喜ぶ南米王者コリンチャンスの選手たちを尻目に、ヨーロッパ王者のチェルシーの面々はがっくりとうなだれ、母国のクラブに敗れる屈辱を味わったダビド・ルイスは涙を浮かべた。
12月15日のクラブワールドカップ決勝は、1-0でコリンチャンスがチェルシーを破って優勝した。ヨーロッパ王者が敗れるのは、2006年にバルセロナがインテルナシオナルに敗れた時以来となる。
だが、バルセロナやその前年のリバプールが敗れた時とはいささか状況が異なる。クラブワールドカップはヨーロッパのクラブにとって“お遊び”であったり、過酷なスケジュールを強いられるがために“罰ゲーム”のように捉えられることもあったが、今回のチェルシーは本気で勝たなければならない理由があった。
チェルシー敗戦のカギは2列目にある
チェルシーは現ヨーロッパ王者でありながら、チャンピオンズリーグで既に敗れている。前年王者がグループステージで敗退することは史上初であり、その辱めを払拭するためにも是が非でも世界王者のタイトルは必要だった。
そして、暫定監督ラファエル・ベニテスの去就だ。この日も前半16分に、前任者ロベルト・ディ・マッテオを称える拍手が起きている。このベニテス就任以来続く“儀式”をなくし、来季以降も指揮を執るためにも勝利は必須だった。
では、何故敗れたのか? そのカギは2列目にある。
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