拮抗した試合で続く苦戦
快調に首位をひた走ってきたはずのG大阪が、リーグ戦終盤を迎えて試練の時期を迎えている。
「一年を通じて安定した戦いをすることが一番大事」と話していた指揮官の言葉は、波の少ない戦いぶりとなって現れていたはずだったが、ここ5試合を振り返ると1勝2分2敗と明らかに失速傾向。9月30日の愛媛戦では、ホームで初となる完封負け(といってもホームでは2敗なのだが)を喫し、5月26日以来守り続けてきた首位の座から陥落した。
セットプレーから2試合連続で失点を許しているものの、チームが抱える課題は守備ではなく、むしろ攻撃の迫力不足にある。
確かに得点数こそリーグで唯一平均得点が2点を上回っているG大阪ではあるが、松本山雅戦では突き放し切れずに2-2に終わり、愛媛戦は時に10人がペナルティエリア内に引きこもる人海戦術を前に無得点に終わっている。
「戦い方を変える必要は全くない。後は精度を高めるだけ」と大黒柱の遠藤保仁が言うように、残り7試合も攻撃的なスタイルを貫く選手の顔ぶれは十分に揃っている。ただ、同時に背番号7がこう続ける言葉にチームが今シーズン抱えてきた潜在的な懸念材料が透けて見えるのだ。
「先に点は取りたいので、栃木戦も最初から全力で行きたい」。
確かに、シーズン全般を通してみれば、得点力を発揮してきた大阪の雄だが、敗れた4試合を見ると全て先制を許したもの。大量得点で押し切る試合も多い反面、拮抗した展開や追いかける局面で、流れを変える、または切る攻撃のカードにやや迫力を欠いている。