霜田正浩技術委員長【写真:Getty Images】
日本代表は11日のイラク戦と16日のシンガポール戦に向けた強化合宿を行い、7日の練習で最初の区切りを迎えた。
この1週間はシーズンを終えたばかりの海外組のみでトレーニングを行ってきたが、霜田正浩技術委員長は「1年シーズンが終わって少しゆっくりしたいとか、やっと一息ついたところだったんですけど、その気持ちをもう一回奮い起こして、この予選が終わるまではシーズンを終わらせないという形で選手が頑張ってくれた」と、手を抜かずコンディション維持に努めた選手たちを称賛した。
国内組に先駆けて集合して1週間寝食をともにしてきた中で、選手たちと監督は綿密にコミュニケーションを取りながら、新たなスタイルを身につけてきた。
霜田委員長は「とにかく一緒の時間を共有したいというのが監督の希望でもあり、短い準備期間の中で自分たちのメッセージを伝えるとか、あるいは選手がどう感じているのかを逆に監督が知るとか、そういうお互いのコミュニケーションの時間を増やしたいということも目的だった」と今回の合宿の意義を説明する。
そのうえで「真面目さであったり人間性であったり、それは本当に自分たちのクオリティや能力を上げるには絶対に必要なこと。それは日本人にすべて備わっていると監督は評価をしてくれている」と、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の視点を明かした。
ただ、「これから試合を重ねていくことによって、日本人がまだまだ世界と戦うのに足りないところを徐々に監督も選手に伝えていく」と、課題が山積みであることも強調している。
週明けからは国内組も合流して25人のチームが始動する。16日のシンガポール戦にベンチ入りできる人数は23人だが、闇雲に2人をチームから外すことはないようだ。
霜田委員長はメンバーの選考基準について「国内組は相手が日本人なので、ヨーロッパで戦っている指標と同じには比べられないんですけど、それでもヨーロッパでアジアの予選だとかW杯へ行って海外の選手とやった時にも十分できるような選手を選んでいるつもり」と明かした。
また、ハリルホジッチ監督やコーチ陣が見れば「球際のところも本気で戦いにいっているかどうかというのは、試合を見ればすぐに分かる」と指摘している。
23人のメンバー選びは毎回全員が同じラインからのスタートとなる。「技術的なところ、戦術的な理解の部分、あとは球際の部分だとか、それからフィジカルの能力、もちろん伸びしろとか年齢とかも考慮します。そのときそのときでベストなチームを作るというのが監督、代表チームの宿命です」と霜田委員長は語り、選手たちにさらなる競争を促す。
前回も多くのメンバーを招集してサバイバルを経験させたが、今後は公式戦をしながらポジション争いをしていくことになる。ハリルホジッチ監督を満足させられる選手がどれだけ現れるのか。海外組と国内組、ベテランと若手、誰が最も力を発揮できるのか。日本サッカー界全体で代表の座を懸けた競争が始まっている。
【了】