大記録に挑むルカ・トーニ【写真:Getty Images】
今週末に最終節を迎えるセリエAで、エラス・ヴェローナのFWルカ・トーニは2つの大記録に挑む。セリエA史上最年長得点王と、エラス・ヴェローナ史上初の得点王輩出だ。
今季38歳にしてキャリアのピークを迎えていると思わせないほどの活躍をみせているトーニ。同選手は現在セリエAで21ゴールを記録中。ユベントスのFWカルロス・テベスとインテルのFWマウロ・イカルディの20ゴールを上回り、得点ランキングで首位に立つ。
トーニは典型的な“遅咲きのストライカー”だ。モデナの下部組織で育った同選手は94年に当時セリエC1(実質3部)に所属していた同クラブでデビューを果たした。その後は下部リーグでの下積みが続き、23歳の時にヴィチェンツァでセリエAデビューを果たす。
トーニがストライカーとしての才能を開花したのは再びセリエBに活躍を移したパレルモでのことだった。2003/2004シーズンに45試合に出場して30ゴールを挙げ、リーグ得点王となりチームをセリエAに導いた。
28歳となった2005/2006シーズンにフィオレンティーナへ移籍したトーニはセリエAで31得点を記録。同リーグで47年ぶりとなる30得点以上での得点王となった。
同選手の1つのピークと言えるのが、2005年からの3年間だろう。2006年にはイタリア代表としてワールドカップを制し、2007年に移籍したバイエルン・ミュンヘンでは1年目に24得点を挙げて得点王とリーグ優勝を経験した。
しかし、2009/2010シーズンに当時の指揮官ルイス・ファン・ハール監督と衝突して出場機会が減少すると、スランプ期に入ってしまう。ローマ、ジェノア、アル・ナスル、フィオレンティーナと数々のクラブを放浪するも、いずれも成功を収めることはできなかった。
そして、36歳となる2013年にエラス・ヴェローナに移籍。彼にとってラストチャンスであることは明白だった。すると、移籍1年目から20ゴールを挙げ劇的な復活を果たす。今季はさらに上回る21ゴールを積み重ね、最終節を前に得点王に踊り出た。
決して順風満帆ではなかったサッカー人生を歩んできたトーニ。38歳を迎えた今、遅咲きのストライカーは再びキャリアのピークを謳歌している。
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