数的不利でも突破しようとする精神的な「たくましさ」
メッシの1対1の強さの理由に触れる前に押さえてほしい重要ポイントがあります。ブラジルワールドカップ後に頻繁に「たくましい個」という言葉が言われていますが、まず考えないといけないのは「たくましい」という言葉に込められた意味です。
この数年の日本サッカーでは、攻守のどんな場面でも数的優位をつくることを強調されてきたように感じますが、攻守において数的優位の状況に頼りすぎてしまうと「たくましい個」をつくるのは難しいのではないかと僕は懸念しています。
まずは「たくましい個」があることが最も重要なのです。それがあるからこそ、数的優位の状況を作ったときにより有利になれる。その順番を履き違えてはいけないのではないでしょうか。
僕がボカ・ジュニアーズにいたとき、後にアルゼンチ代表になるサミュエルやテベスといった選手たちは、攻守で1対3のような数的不利の状況でも、1人で守ろうとしたり、1人で突破しようとしたりする「たくましい個」がありました。
彼らのように、やはり子どものときは攻守において、数的優位をつくることよりも、個人としてたくましくプレーできる選手になることを第一に考えるべきだと思います。
メッシは注目されるように技術面でも優れています。ですが、何よりも注目すべきは、その強靭な精神面ではないでしょうか。数的不利の状況でも果敢に勝負できる。数的同数であれば絶対に勝てるという自信が満ちあふれている。
そのくらいの「たくましい個」を日本の子どもたちにも身につけてほしいと思います。