容易ではない「ユナイテッド化」
9月22日、新監督同士の初ダービーでは、マヌエル・ペレグリーニのマンチェスター・シティが、デイビッド・モイーズのマンチェスター・ユナイテッドを4-1で下した。シティは、終盤にウェイン・ルーニーのFKで1点を返されたものの、試合開始から50分足らずで4点のリードを奪う圧勝だった。
試合翌日のイングランドでは、当然ながら、ペレグリーニが、シティ監督としての資格を認められた。だが、同時に、惨敗したモイーズが、ユナイテッド監督としての資格を疑問視されたというわけではない。
これは、昨季から大黒柱のロビン・ファン・ペルシーが負傷欠場したこともあるが、国内では、前監督のアレックス・ファーガソンが見立てた後継者の資質を認める一方で、モイーズの「ユナイテッド化」には時間が必要だと認識しているからだろう。
就任決定当初、国内紙では、「就任1年目での優勝は可能」としつつ、「任期半ばの3年目までにリーグ優勝」が現実的な目標とも言われた。それほど、「エバートン監督」からの変身は容易ではないということだ。
モイーズは、守備的とまでは言わないが、慎重な監督。トップ6入りが目標だった古巣では、経営陣にもファンにも、リスク回避が妥当と理解された。強豪との対戦では、引き分けでも評価された。モイーズを覆っていたエバートンという名の殻は、当人が相当な勇気を持たなければ破れない。
だからこそ、ダービーでの大敗が、逆に「吉」と出るとさえ解釈されているのだろう。シティ戦でのモイーズは、2点のビハインドで迎えたハーフタイム中に、形勢逆転を狙う選手交代を行わなかった。エバートンであれば、外野に意見されることはなかったと思われる。