「第1戦を分析し、教訓を生かした」ネルシーニョ
ホームでの第1戦を1-1と引き分け、アドバンテージを握れなかったことで“不利”と言われていた柏だが、アウェイの第2戦ではその下馬評を覆す見事な戦いぶりを披露して、日本勢4年振りのベスト4進出を果たした。
まず第2戦で際立っていたのは、柏の修正力の高さである。第1戦ではフェルナンド・メネガッゾ、マクネリー・トーレスに起点を作られ、ラフィーニャには切れ味鋭いドリブルでサイドを崩された。
この外国籍選手3人を抑えない限り、柏がアルシャバブに勝利することはまず難しい。そこでネルシーニョはシステムを第1戦の4-2-3-1から4-1-4-1に変え、アウェイでの決戦に臨んだ。
本来、柏のシステムは4-4-2、ないしは4-2-3-1である。ただそのシステムで臨んだ場合、アルシャバブのトップ下のトーレス、ダブルボランチのフェルナンド、アブドゥルマレクの3枚に対し、柏の中盤はダブルボランチの2枚と「3対2」の構図となって、数的不利が生じてしまう。
だが「第1戦を分析し、教訓を生かした」とは試合後の会見でのネルシーニョの言葉だが、4-1-4-1だとアンカーの位置に入る大谷秀和がトーレスとマンマーク気味になり、栗澤僚一と田中順也がゾーンでマークを受け渡しながら、フェルナンドとアブドゥルマレクを見る「3対3」の形が出来上がる。
「ハマると思っていた」という指揮官の予想通り、自信を持って送り出したシステムはアルシャバブの攻撃の核となる中盤3枚を封じることに成功した。
ポジションを限定せずに幅広い動きで味方からパスを引き出し、攻撃を組み立てていくフェルナンドには、第1戦では再三起点を作られたが、第2戦では必ず栗澤か田中がマークに付いており、ディフェンスラインの前で縦パスを受けて攻撃にアクセントをもたらすトーレスには、大谷が狙い定めたかのようにパスが入る瞬間、タイトなマーキングで潰しに掛かった。