結果は一歩後退もプレーは向上
肝心なのは継続性――。サッスオーロ戦のプレビューではそう書かせていただいたが、成績上は前節のローマ戦からの流れは途切れた。
不運な判定とはいえ、1点目の失点が痛かった。あれでミランは点を取りに行かざるを得なくなり、サッスオーロはカウンターにはめやすくなった。あとは、スピードがありダイナミックにポジションを変える3トップをミランのDFラインが捕まえられず、間延びした中盤からスピーディにパスを通される。それが2点目の図式だ。
ローマ戦では組織的堅守からの速攻で勝利をものにしたミランは、今回完全に逆をやられた。ただ、その状態から後半の早い時間帯に2-2まで追いついたところは評価するべきだろう。今までなら崩れたところを、彼らはパスをつないで攻め切って挽回した。ゆえにパフォーマンスの上では、ローマ戦の流れは継続されたと評価することができる。
この試合の本田の評価についても同様だ。点には絡めなかったので、「一歩後退」といった地元記者の評価自体は正しい(前々日のコラム参照)。しかし内容では、確実にローマ戦でのパフォーマンスを継続することができていた。右サイドから、時に中に絞り、時に縦を破ってチャンスを作り出す。プレスをかいくぐっては正確にボールをつなぎ、同点に追いつく流れを引き寄せる源泉となっていた。
守備は、ローマ戦の時よりも厳しかった。ペルーゾが張り付いて体であたりに来るし、インサイドMFのタイデルも挟み込みに来てスペースを潰しに掛かる。そこで囲まれてボールロストを連発するのではという懸念もあったのだが、むしろ力強くプレスに対処しボールをつないでいた。
ボールを受けると思わせておいて縦にボールを流し、ペルーゾを振り切る。タイデルが寄せてくれば繊細なタッチでボールを相手の股に通し、マークを外していく。2人で寄せに来れば、クイックなターンでまとめて裏を取る。低調な時だと流れを止めているうちに、相手に寄せられボールを失うところだったが、この日の動きは実に逞しいものだった。