オシムのインタビューに見えるメディアの厳しい現実
「サッカーメディアを疑う座談会に出てくれ」
目が点になるようなオファーをいただいたのは、8月も終わろうとする頃だった。『サッカー批評issue64』は「サッカーメディアを疑え」と題した、サッカーの報道に関する特集を組んでいた。サッカーメディアの代表者を集めた座談会はその中の一特集である。
今回、フットボールチャンネル(サッカー批評とフットボールサミットのWeb版という位置付けである)の中で、「サッカー批評の批評」を行う許可をいただいたので、その号と、その号で語られた「サッカーメディア」に関する内容について、少々掘り下げてみたい。
雑誌を開くと、目次の次がいきなり「J’sGOAL批判」ということでビックリしたが、その次がオシム元日本代表監督インタビューでさらに驚いた。オシムさんが得意とするメディア批判が始まるのだなと思っていたら、まったく関係ないテーマで、「ブッフォンは素晴らしいGKである」「いまのドイツはレトロモダンである」なんてことを語る内容で、完全に肩すかしである。
恐らく特集のテーマ的に売り上げが厳しいと見込んで、ここにいまだファンの多い元代表監督を置いたのだろう。早くもサッカーメディアの現実を見せ付けられた気持ちになる。
そして、これに続いた森哲也編集長による巻頭言には、率直に言って驚かされた。
2006年に『批評』の編集長となった森氏は当時28歳だったらしい(つまり現在35歳……には、到底見えない……)。初めてサッカーの媒体に携わったのがそのときだという。氏が編集長になって以降、『批評』の売り上げは劇的に回復を果たしたと聞く。
攻撃的な姿勢は反発を買うことも多かったが、意に介していないのかと思っていた。そういうメディア観なのだろう、とも思っていた。それがこの巻頭言で「今回は私自身がパンツを脱ぐことを始めたい」と語り出したのである。