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スポーツ紙記者と取材対象の蜜月 提灯記事が生まれるメカニズム

スポーツ紙における一面記事はどのように作られるのか。「日刊ゲンダイ」スポーツ担当記者が業界の内情を克明に記す。

text by 絹見誠司 photo by Asuka Kudo / Football Channel

【サッカー批評issue64】掲載

独自ネタのために当然の“本田ヨイショ”

本田圭佑
本田圭佑【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 いくらワールドカップ初代優勝国とはいえ、ワールドカップ・ブラジル大会南米予選で低迷中のウルグアイ代表が相手である。

 マンチェスター・ユナイテッドの香川真司、CSKAモスクワの本田圭佑、インテルの長友佑都、シャルケの内田篤人、サウサンプトンの吉田麻也といったチームの根幹をなす欧州組が顔を揃えたザッケローニ監督率いる日本代表は勝てないまでも、少なくとも不細工な試合をやることはない――という見方が大勢を占めていた。

 8月14日、仙台で行われた日本代表とウルグアイ代表との親善試合は、キックオフと同時にスアレス、フォルランの世界的ストライカーに格の違いを存分に見せ付けられ、2‐4のスコア以上のレベル差を痛感させられる結果となった。

 昨シーズンのセリエA得点王のカバーニ(ナポリからフランスリーグのパリSGに移籍)が欠場せずに豪華絢爛3トップが揃い踏みしていたら、4失点では済まなかったかも知れない。

 ザッケローニ監督は、カバーニを自国のリーグ戦出場を最優先として、ケガを理由に日本遠征を断ったパリSGのフロント幹部に感謝しないといけないだろう。

 試合翌日の各スポーツ紙の報道は「ザック 限界」「ザック切れた W杯優勝要請は受けてない」「またも守備崩壊 4失点」と1面に悲観的な大見出しが躍った。

 例外があった。本田のジャンピングボレーを背中越しに捉えた写真と一緒に「ザック日本FK1号 本田弾」「ウルグアイ戦に完敗も『これでいい』」の見出しを1面に掲げたA紙は、リードで「日本の大黒柱は『やられたから次は引いて守ろうかというのはナンセンス。このやり方を貫く』」と本田自身の肉声を紹介した。

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