過去を捨て、未来を見据えるメンフィス
1.ルーツ
オランダ南部のモールドレヒトでガーナ人の父とオランダ人の母の間に生まれたメンフィス少年は6歳の時、地元のアマチュアクラブ・VVモールドレヒトでサッカーを始めた。その後スパルタ・ロッテルダムを経て12歳でPSVの下部組織に入団し、今に至る。
デパイのキャリアに大きな影響を与えたのは自身が15歳の時に亡くなった祖父の存在だった。左腕には「偉大な男が僕に巨大な力を与えてくれた」という、祖父へ向けた言葉がタトゥーとして彫られている。
また、両親はデパイが4歳の時に離婚しており、彼はユニフォームネームを「メンフィス」にしている。これは自らの下を去った父に対する反抗の意思表示だ。
2.U-17欧州選手権
デパイは2011年9月にカップ戦でトップチームデビューを果たすが、直前の5月にU-17欧州選手権で優勝を果たしている。
当時のチームメイトにはテレンス・コンゴロ(フェイエノールト)、カリム・レキク(現PSV)、イェトロ・ウィレムス(現PSV)といった有望な選手が揃っており、デパイとともに現在A代表にも選出されている。
その中で11番を背負ったデパイはドイツとの決勝でゴールを決める。対戦相手にはエムレ・カン(現リバプール)やカーン・アイハン(シャルケ)、ミッチェル・ヴァイザー(現バイエルン)といった世界屈指の有望株が揃っていた。
母国の優勝に大きく貢献したデパイは、大会の優秀選手にも選出される活躍でその才能を欧州中に知らしめた。約半年後、17歳にしてトップチームデビューを果たすことになるが、この大会がキャリアの転機になったといって間違いないだろう。