きっかけは鹿島戦。不甲斐ない試合の後に…
雨降って地固まる――。
まるで、その諺が当てはまるかのような快勝劇だった。ヤマザキナビスコカップ準決勝第1戦、横浜FM戦での4-0という大勝は、監督の辞任騒動がチームを引き締め、柏が持つ本来の強さを引き出したかにも思えてくる。
発端は8月31日のJ1第24節、鹿島戦だった。勝てば勝ち点2差の鹿島を追い抜くとともに、最高で4位まで上がれるという大一番。上位3チームに詰め寄り、来季のACL出場権獲得はもちろん、今後の展開次第では優勝戦線へ食い込む可能性が生まれる非常に大事な試合である。
だが柏は1-3で敗れた。ギリギリの激闘を繰り広げ、紙一重の差で敗れたならばまだしも、大一番にもかかわらずフワッとした試合の入りで集中を欠き、ミスも目立った。この不甲斐ない敗れ方にネルシーニョが激高するのも無理はない。
試合終了後の記者会見場にはなかなか姿を見せなかったため、ロッカールームで怒りを露わにしているのかと思っていたが、この敗戦はとんでもない事態へ突き進んだ。選手たち、そしてフロントスタッフに辞任の意向を伝え、ようやく現れた記者会見の場でも辞任を表明するのである。
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