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本田圭佑 10年前

目標失い、買収に揺れるミラン。本田圭佑はナポリ戦で試合からの“消え癖”を改善できるか

ミランは4月29日のジェノア戦をホームで1-3の敗戦を喫し、ファンに醜態を晒してしまった。買収騒動が大きく報道されるミランの次の相手は格上ナポリ。EL出場権獲得も絶望的となったミランは来季に向けたきっかけを掴みたいところだ。

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

“いつも通り”試合から消えたジェノア戦

目標失い、買収に揺れるミラン。本田圭佑はナポリ戦で試合からの“消え癖”を改善できるか
ジェノア戦では醜態を晒したミラン【写真:Getty Images】

 連日、スポーツ紙の一面を飾っているトピックは“ミラン売却”である。タイの実業家ビー・タエチャウボル氏は28日からミラノ入りしており、彼が滞在中のホテルからどこに行ったのか、またミランのベルルスコーニ名誉会長らと話をしたのかどうなのか、ということがTVやウェブで逐一報じられている。

 残念なことではあるが、試合に向かうトップチームの扱いはとても小さいものになっている。たしかにチームがあんな状態では、注目を引くのも難しい。29日のジェノア戦に敗れて最後の目標だったヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得もますます難しくなり、先発出場した本田圭佑も後半9分に交代させられてしまった。

 ジェノアのミラン対策は、とてもシンプルなものだった。積極的に前方からプレスを掛けて、徹底的にボールホルダーの動きを制限することにより、ただでさえ不安定なミランのビルドアップを不完全なものにしてしまう。彼らはほぼこれだけで、試合を掌握してしまった。試合前の段階でリーグ戦7位と10位のクラブの差はここにありありと出ていた。

 そして、そんな展開に陥ると本田はますます生きなくなってしまう。4-3-3の右に張る彼を封じる戦術も徹底していた。左サイドの守備を担当していたエデニウソンは本田に張り付き、ポジションを中へ絞ってもぴったりついてきて前を向かせなかった。

 普通、SBないしWBがこのように釣られると、サイドのスペースががら空きになる。そこをアバーテが攻め上がるのが右サイドの連係の肝だったのだが、ジェノアの場合はここに他の選手をスライドさせてスペースを緻密に消してくる。

 もともとビルドアップが遅いので、常に前を塞がれた状態でボールを受けざるを得ない。しかもパスをさばこうにも、スペースを作ったり、貰いやすい位置に引いたりという動きは味方にも皆無だ。そこで対面の選手にぴったりと張り付かれると、もうバックパスしか選択肢がない。試合の流れから本田が消える時の典型的なパターンだった。

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