ユベントスで活躍を見せるMFロベルト・ペレイラ【写真:Getty Images】
ロベルト・ペレイラは“モダンなトレクァルティスタ(トップ下)”という言葉がよく似合う選手だ。
今季ウディネーゼからユベントスへの移籍が決定した時、ユベンティーノ(ユベントスファン)の中にペレイラの大活躍を期待する者はほとんどいなかった。事実、シーズン序盤はユベントスの難解なシステムに戸惑っているようにみえ、本来の持ち味であるダイナミズムは鳴りを潜めていた。
そんなペレイラに転機が訪れたのが11月9日のパルマ戦だった。ユベントスの指揮官マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、前任者アントニオ・コンテ監督の3-5-2システムではなく、自身の得意とする4-3-1-2への変更に踏み切った。そのトップ下に選ばれたのがペレイラだ。アッレグリ監督によるトップ下は豊富な運動量とテクニックを併せ持つ彼にぴったりな役割だった。結果、パルマ守備陣を撹乱し7-0の大勝に貢献している。
ペレイラはアルゼンチンのリーベル・プレートで育ち、2011年にイタリア・ウディネーゼに渡った。巧みなドリブルと運動量によって、トップ下を本職としながらも、インサイドハーフやセンターハーフも担うことができるポリバレントな選手である。
ユベントスの加入が決まった際、ペレイラは自身のアイドルにマウロ・カモラネージの名を挙げた。理想の選手と同様に、彼も味方を活かすのがうまい選手である。攻守に走り、味方にスペースを作り出し、ドリブルで相手守備陣を切り裂いて、アタッカーにパスを送る。その万能性からアルゼンチン代表ではセンターハーフとして重宝されている。
個性が強い選手が多いアルゼンチン代表にとって、ペレイラはまさに潤滑油となれる選手だ。カモラネージはイタリア代表を選択したが、彼もまたアルゼンチンにルーツを持つ選手だった。
ユベントスとアルゼンチン代表にとって、ラストピースともいえるペレイラのブレイクは「今季最大の発見」といってもよいだろう。未だ24歳と伸び盛りの若者の未来に注目したい。
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