日本人選手の海外移籍がもたらすものとは
Jリーグ選手の欧州移籍話で常に議題にあがることは、それが日本のレベルの向上をどのように助長してくれるかということだ。
武藤嘉紀がチェルシーの署名欄にサインすべきかどうかは意見が分かれるかもしれない。しかし、22歳の潜在能力を最大限に引き出すには、遅かれ早かれ欧州のどこかに移籍する必要があることには、ほぼ全員が同意見だろう。
昨季のディエゴ・フォルランが見せたような、科学では証明できない移籍があった一方で、4大リーグにいる選手の質によってその国のフットボールのレベルの高さや成功の基準が判断されるという前提に反論するのは難しい。
さらに、日本人選手の海外移籍は代表への連鎖反応にもなる。国際大会で日本代表として戦う選手は世界各国の対戦相手と戦うことを経験し、サムライブルーに足りない反骨心や厳しい環境を生き抜く術を身につけることができる。
もちろん“日本のフットボール”がただ日本代表を意味しているわけではなく、洗練された経験豊富な選手たちもJリーグ全体に利益をもたらすであろう。今シーズンはすでに海外で数年間のプレー経験がありながらJリーグに戻ってきた選手がインパクトを残しており、止まらない連続得点で最もヘッドラインを飾っている宇佐美貴史はその一人だ。
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