前半だけで逆転したバイエルン
背水のバイエルンが、ポルトを圧倒した。レヴァンドフスキは「前半戦はただ畏怖の念を起こさせるものだった。全てが素晴らしかった」と振り返る。
2015年4月21日に開催されたチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、1stレグを1-3で落としたバイエルンはホームにポルトを迎えた。ハビ・マルティネス、アラバ、ベナティア、ロッベン、リベリー…。負傷により多くの主力を欠き、戦術的な急所を突かれてアウェイで3失点したバイエルンは、後がなかった。
試合後にラームは「確実なものは何一つないが、僕はこのゲームに対して全く楽観的だったよ」と言葉を残したが、主将が「楽観的」というほどにバイエルンに余裕はなかった。レヴァンドフスキが「前半での5ゴールは全くもってクレイジーだ」と言うように、背水のドイツ王者は「クレイジー」にポルト陣内に攻め入った。規律と献身に則り、連動したプレスでボールを奪い返しては、ハイテンポでダイナミズムに満ちたパス交換を繰り返す。
ポルトの指揮官ロペデギが「個と組織の双方において、攻撃面でとても強かった」とするバイエルンは14分、遂に先制ゴールを奪う。ベルナトの左からのクロスに、チアゴがヘッドで突き刺した。バイエルンはさらに鬼気迫る。
逆転突破にはまだ1点が足りなかった。ゲーゲンプレッシングは機能し続けて、集中が途切れることはない。そして21分、チアゴの右のCKから最後はボアテングが押し込んだ。ロペデギはすっかり青ざめている。そして27分レヴァンドフスキ、36分ミュラー、40分レヴァンドフスキ――。前半だけでバイエルンはポルトが1stレグで緻密に築き上げた成果を吹き飛ばした。