勝負を決める存在となったイニエスタ
勝敗の決着は14分。イニエスタが巧みなステップでのドリブル突破でPSG守備陣を切り裂くと、ネイマールへ完璧なアシスト。GKをもかわして無人のゴールマウスにボールは吸い込まれていった。
30歳で迎えた今季、イニエスタは決して順調なシーズンを送ってきたわけではない。負傷の影響もあって、リーガでの出場は32節終了時点で19試合(16先発)にとどまっており、0得点0アシスト。12-13シーズンには16度もの得点をお膳立てしてきただけに、低調なパフォーマンスであることは明らかだ。
さらに、1試合の平均パス本数は62.8本。もちろん、バルセロナ自体がかつての圧倒的なポゼッションスタイルからカウンターも取り入れる、ある意味では“普通に強い”チームへとシフトしていることも要因となるが、同じく12-13シーズンには72.4本ものパスを通している。
10代後半でトップチームに定着し、20代前半で主力となったイニエスタは、すでに“10年戦士”。その間、怪我を抱えながらも出場を続け、バルセロナでの公式戦通算出場数は535試合にも上っている。30歳という年齢ながら、その身がすり減っているとしても不思議ではない。
それでも、マンチェスター・シティとのベスト16ではアウェイの1stレグで113回のボールタッチを記録し、99本のパスを通した。そして、やはり負傷欠場の可能性が示唆されていた中での出場となったこの試合でも前半の45分という限られた時間で勝負を決める存在となった。
さらに忘れてはならないのが、31歳のダニエウ・アウベスの存在だ。
今季終了後に契約満了となるため、退団の可能性も報じられているが、やはりその存在感は圧倒的。34分には右サイドでマクスウェルとの駆け引きを制して、ネイマールの2点目を生みだした。
また、90分間を通して101回のボールタッチを記録し、89本のパスを出した。前半の45分間は75.32%も敵陣でプレー。ディフェンダーとして自陣でプレーしたのは、わずか24.68%だった。