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血なのか、それともサッカーなのか? 中東の帰化戦略の変化
――良い選手がいるという情報を持っていて“漏れた選手”に目をつけて、帰化させる人や組織がいるのでしょうか?
「ブローカーみたいな人に売り込むケースもあります。たまたま自分の知っている選手を売り込んでいると思います。そこまでスーパーな選手はベナンに流れ込んできてはいませんから」
――中東の帰化戦略が変わってきていますか?
「中東でもレバノンやシリア、ヨルダンなど全部に共通していますけど、ヨーロッパに移民がいるんですよ。シリアがW杯三次予選の時に、スウェーデン生まれの選手を呼びました。ただスウェーデンの代表歴があって三次予選は失格になりましたけど。レバノンにもスウェーデンやデンマークでプレーする選手がいます。向こうで生まれたり、育ったりしたサッカー選手を取ってきていますね。
ちょっと前から今でもやっているトルコは、ウミト・ダバラやイルハン、バシュテュルク、アルティントップ兄弟といったドイツ生まれの選手を取ってきて、ドイツサッカー協会からかなり批判がありましたね。やっぱり海外に住んでいても、俺は『トルコ人だ』『シリア人だ』『ヨルダン人だ』って思っていますから。そこを上手く利用して代表選手にしていますね。モロッコ代表の五輪メンバーだってオランダ生まれ、ベルギー生まれ、ドイツ生まれを取ってきていますよ。
世界的に移民は随分とボーダーレス化しています。例えばU-17とかU-20に選ばれていたら、そのまま国籍をもらう選手もいます。これはもう二通りに分かれちゃいますよね。血なのか、それともサッカーなのかで。
いままでは国籍変更は21歳以下で決めなければなりませんでしたが、2009年にFIFA総会でアルジェリアから撤廃する案が提出されました。ヨーロッパは反発しましたが、アフリカや南米が結託して年齢制を撤廃させました。昔はユースでちょっとプレーしたらアウトでしたが、ユース時代はまだ思考力もないし、未成年という理由で承認させました。
だからユース年代に日本でプレーしていても、たまたまカンボジア国籍を取っていれば、カンボジアA代表でプレーできる。いまはA代表でプレーさえしなければ良いんです」