チェルシーの不動の左SBまで登りつめたDFセサル・アスピリクエタ【写真:Getty Images】
プレミアリーグで首位を走るチェルシーは18日、本拠地スタンフォード・ブリッジに好調の3位マンチェスター・ユナイテッドを迎える。リーグ戦は3連勝と一見好調に見えるが、いずれも格下相手に1点差勝利と苦戦を強いられているチェルシー。
マンチェスター・シティとのダービーマッチにも勝利し、4戦12得点のユナイテッドの攻撃力は警戒が必要だ。その役割を担うのは、スペイン代表DFセサル・アスピリクエタだろう。
ともに4バックを形成するブラニスラフ・イバノビッチ、ジョン・テリー、ギャリ―・ケーヒルはいずれも190cm近い大男。その隣で構える178cmのアスピリクエタは、むしろ異質にも見える。だが、元ユナイテッドのギャリ―・ネビルをして「完璧な選手」とまで言わしめる彼のチェルシーでのキャリアは、ベンチからスタートしている。
2012年にマルセイユからやってきたアスピリクエタがデビューシーズンとなったプレミアリーグで初めて先発したのは第10節のこと。今ではすっかり左SBの選手として定着したが、このシーズンはロベルト・ディ・マッテオ監督のもと出場したほぼ全ての試合で右SBとして出場している。
それもそのはず、彼は当初右SBのレギュラーであったイバノビッチの控えとして獲得された選手だった。テリー、ケーヒル、ダビド・ルイス(現PSG)らが慢性的な負傷を抱えていたため、イバノビッチがCBに入り、アスピリクエタは右SBでプレーしていた。左SBにはアシュリー・コール(現ローマ)がいたからだ。
翌シーズン開幕後は3人のCBがコンスタントにプレーが出来るようになったため、イバノビッチが本来の右SBに復帰すると再び彼はベンチ要因となった。しかしここで彼に転機が訪れる。キャリアのピークを過ぎていたコールのパフォーマンスに納得がいかないジョゼ・モウリーニョ監督は、アスピリクエタを左SBにコンバートしたのだ。
すると、不慣れな左SBながらモウリーニョ監督の要求に完璧に応え、不動の左SBの座をコールから奪ってみせた。「時間があればもっと良くなっていくよ。このままシーズンを通してこのポジションでプレーできたら最高だ」と自らの居場所を見つけたことに満足感を示している。
献身的なプレーと無尽蔵のスタミナ、そして不断の努力で“ブルーズ”のファンから絶大な信頼を得たアスピリクエタは、2013/2014シーズンにクラブの選手選抜最優秀選手賞に輝いている。ケーヒルは「彼ほど練習熱心な選手はいない」と語るなど、スター選手が揃うチェルシーの中で独特の存在感を放っている。
そんなアスピリクエタだが、ユナイテッド戦ではかつてチェルシーで共にプレーし、スペイン代表ではチームメイトのファン・マタとマッチアップが濃厚だ。5シーズンぶりのプレミア制覇に向けて、まだまだ止まるわけにはいかない。
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