香川真司と恩師ユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】
ドルトムントのユルゲン・クロップ監督が15日に発表した突然の「今季限りでの退任決定」は、今後の“BVB”にとって、そして日本代表の香川真司にとって大きな影響を及ぼすことは間違いなさそうだ。
苦悩の2年間を過ごしたマンチェスター・ユナイテッドからの復帰初戦となったフライブルク戦でゴールを挙げた香川を「華々しく衝撃的だった」と言って歓迎したクロップ監督は、まさに恩師ともいえる存在だろう。
しかし、ドルトムントに復帰した香川に待ち受けていたのは、またも苦難の日々だった。22試合で2得点4アシスト(28節時点)と、リーグ2連覇の立役者となったパフォーマンスからは程遠い。
それでも、14節のホッフェンハイム戦後、「マンチェスターでの2年間の状況を考えれば、いきなり絶好調になって何でもできるようになる方が驚異的だ。攻撃の選手は安定を取り戻すのが難しい」と言って香川を擁護したクロップ監督。チャンピオンズリーグのユベントス戦では1stレグ、2ndレグともに出番が与えられなかったが、首位バイエルン戦や前節のボルシアMGとの“ボルシア・ダービー”では先発出場するなど、完全に信頼を失ったわけではない。
ドルトムントに再加入した昨年9月には、そんなクロップ監督を「僕のサッカーを一番よく知っており、一番うまく活かせる監督だと感じている。クロップ監督には大きな恩がある。監督が考えるサッカーに自分は合っていると思う」と語った香川とクロップ監督はまさに相思相愛だ。
現在10位のドルトムントが再び欧州の舞台に返り咲くには現在準決勝まで勝ち進んでいるDFBポカール(ドイツ杯)を制覇し、ヨーロッパリーグ出場権を獲得するほかない。
スランプに陥る香川だが、絶頂期の姿を忘れていないジグナル・イドゥナ・パルクのサポーターからの信頼はいまだ厚い。果たして愛弟子・香川は恩師とともにクラブを去ってしまうのか、それともサポーターからの信頼に応えるべくドルトムントでの冒険を続けるのか。
いずれにしても、今季残された唯一のタイトルであるDFBポカール優勝をクロップ監督への最高の恩返しにしたいと願っていることは間違いないだろう。そのためにはまず、29日に行われる準決勝バイエルン戦に勝利しなければならない。
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