シティの抱える戦術的な問題
前任者のマンチーニは昨季、4-2-3-1を基本布陣としながらも3バックをトライ。イレブンは戦術的混乱に直面し、イタリア人指揮官のマネジメント術も悪しき方向に流れ、チームは内部崩壊してしまった。
2位に終わったシティのスカッドは、優勝したユナイテッドや3位のチェルシーと比較しても何ら劣ることはなく、むしろ2連覇しても不思議ではない陣容だっただけに無冠の昨季は失望しか残らなかった。
今季は1トップもしくはトップ下としてプレー可能なカルロス・テベスがユベントスに移籍。だが、トップ下やサイドもこなせるステファン・ヨベティッチ(モンテネグロ代表)と点取り屋のアルバロ・ネグレド(スペイン代表)が加入して、戦力はさらにアップしている。
ペジェグリーニの戦術は攻撃的だが、緻密なディティールが施されている。攻撃的であると同時に守備のマネジメントも重要視されており、それゆえボランチのヤヤ・トゥーレのパートナー問題が、そのままシティ戦術の問題とも言える肝なのだ。
同じ4-2-3-1でも、ユナイテッドとシティのそれは似て非なるものだ。
ユナイテッドにおいては2シーズン連続得点王の1トップ、ファン・ペルシを最大限に活用すべく、左右両ウイングが躍動。トップ下ではルーニー(本稿執筆時点では在籍中)ないし香川が巧みなアシスト力と得点力を披露する。
だが、昨季までのシティの1トップは小柄なカルロス・テベス(もしくはセルヒオ・アグエロ)が務め、右ウイングにはダビド・シルバ、トップ下はアグエロ(もしくはテベス)、左ウイングはプレーメーカータイプのサミル・ナスリが務めていた。