森重を抜擢するメリットはある
東アジアで初キャップを飾った6人が選ばれたこともあり、ウルグアイ戦は常連と新戦力の融合に注目が集まっている。確かに今後を考えてもそれは大事なテーマだが、この時期にホームとはいえ前回W杯3位のウルグアイ、しかもほぼベストのメンバーと試合をできる機会は、チームとして活かしていきたい。
堅実な守備と鋭い攻撃を誇るウルグアイとの試合だけに見所は多いが、守備陣はフォルランとスアレスが前線に配置される鋭い攻撃を止め、失点を防ぐことができるかどうかは注目ポイント。その前提で新戦力の台頭が見られれば理想的だ。
失点傾向に関連して、ザッケローニ監督は一見矛盾する2つのポイントを語る。1つは「より多くの得点を狙うチームにはそれだけ失点のリスクが伴う」ということだ。その一方で、後ろは十分に人数が足りているのに、対応の甘さを突かれて失点するケースが非常に多いことも認めている。
ウルグアイはどちらかと言えば守備的で、攻撃は前線のアタッカーに委ねる傾向はあるが、相手の守備に生じたスペースやギャップを逃さない。つまり日本が課題とウルグアイの得意な部分は重なっており、日本のディフェンスとウルグアイのオフェンスを見る上での焦点になる。
準備期間の少なさを考えれば、センターバックは慣れた吉田と今野を組ませることが濃厚だ。コンフェデで大量失点に絡んでしまった彼らが、ウルグアイを相手に改めて堅実な守備を見せられるかどうかは、今後の強化にも関わってくる。
しかしながら、ここで対人能力に優れた森重を起用するメリットも小さくない。組織の大事さを前置きしながら、“60分過ぎ”と“攻守の切り替わり”には「個人の対応力が求められる」と語る森重が、それぞれの厳しい局面でどれだけ強さや粘りを発揮できるか。森重の資質をチェックする上で、これ以上の機会もなかなか無いだろう。