指揮官の高い要求に応えた長谷部
ハリルホジッチ監督の初采配となったチュニジア戦は新たな指揮官の方向性、選手たちの意識を示すことに関しては上々の試合だった。
もちろん現時点の質はA代表のそれとしては不十分だし、ハリルホジッチ監督も「奪ってから最初のパスで、まだまだ短いパスを使いすぎている」こと、速さを追求する中で正確性が伴っていない部分もある。
また対戦相手のチュニジアもレーケンス監督が試合後に語った通り後半の途中で、運動量がガタッと落ちた事実を考えれば、終盤の2得点を手放しで喜ぶのも危険だろう。
それにしても、縦を狙う積極性やそのイメージをチームとして共有する姿勢、守備における連動の中で球際に厳しく行く姿勢に関してはハリルホジッチ監督が求めるものを出そうとした。選手たちが向上しようとしていることが観る側にも伝わってきたことは非常にポジティブだ。
今回は多くの代表経験が少ない選手にチャンスを与えるという目的があったわけだが、それにしてもハリルホジッチ監督の要求に最初から高いレベルで応えている選手が1人いた。キャプテンマークを巻いた長谷部だ。
コンパクトなディフェンスの中心を担いながら、ボールを奪ったところから起点になるパス、中盤でボールを引き出してから縦に付けるパスなど、この試合でのプレーメーカーは間違いなく長谷部だった。
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