サッカー界にまたひとつ悲しいニュースが飛び込んできた。今月23日、イラクの首都バグダッド東部で、同国U-23代表のマフディ・アブドゥル・ザフラが爆弾テロに巻き込まれて死亡した。3月17日に19歳の誕生日を迎えたばかりだった。
24日に米紙『ワシントン・ポスト』が伝えたところによれば、アブドゥル・ザフラはイラク・プレミアリーグのカラバFCでプレーしており、U-23代表には飛び級で選出されていた有望株だった。
イラクU-17代表として2013年のU-17W杯に出場し、昨年はU-19代表の一員としてAFC U-19選手権に出場していた。日本との対戦経験はない。
所属クラブのシャキール・マフムード監督はアブドゥル・ザフラの死亡をテロ当日の夜、イラクメディア『AIN』の報道で知ったという。
また、24日付けのトルコメディア『ターキッシュ・ウィークリー』によれば、今回の自動車爆弾テロによって、アブドゥル・ザフラの他に少なくとも15人が死亡し、40人以上が負傷したとのこと。負傷者の中にはハイダル・クダールというカラバFCの選手も含まれていた。
この事件をISIS関連の情報を中心に報道する『アル・ショーフラ』が取り上げ、イラクサッカー連盟の広報エヒア・カリム氏のコメントを掲載している。
「我々はテロリストによる自動車爆弾で死亡したマフディ・アブドゥル・ザフラへ、イラク人とフットボールファンとともに哀悼の意を表明する。彼はハイダル・クダールとともにトレーニングへ向かう途中だった」
さらにカリム氏は「指導者たちが非常に期待していた、将来の約束されたタレントを失った。イラクサッカー界にとって痛みだ」とアブドゥル・ザフラの死を嘆いている。
イラク北部やシリアを中心に勢力を拡大するISISが今回の件に関与しているか定かではないが、市場や飲食店の近く、人が多く集まる街中で起きた最悪のテロだ。
アブドゥル・ザフラの突然の死を受け、カラバFCは3日間あらゆるクラブの活動を停止すると発表した。さらに多くのイラクのサッカーファンがSNSに追悼の言葉を投稿している。
治安の不安定な状態が続くイラクで起きてしまった痛ましい事件。サッカー界に限らず、これ以上悲しみの連鎖が生まれないことを祈るばかりだ。
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