意外に知られていない3-4-3の機能性
最初の3バックシステム、WMは30年間も続いた息の長いシステムだった。その後は80年代に2トップ対応の3-5-2が登場しているが、ファンを魅了して記憶に残る3バックはアヤックスやバルセロナが用いていた3-4-3だろう。
ルイス・ファン・ハール監督が率いた“マイティ・アヤックス”、ヨハン・クライフ監督の“ドリームチーム”、どちらもサッカー史に残る素晴らしいチームだった。
ところが、この3-4-3の機能性は意外と知られていない。
現在でもバイエルン・ミュンヘン、バルセロナ、マルセイユという同種のサッカーはあるのだが、数が少なすぎるのだろう。
最もわかりにくいのは、中盤の底に位置する選手とセンターバックの関係だろうか。かつてのバルセロナならグアルディオラとクーマンがこれにあたる。マンツーマンで高い位置からプレッシングをかけていく守備を基調としながら、グアルディオラとクーマンの位置関係だけは変わらない。ほかはマンツーマンなのに、ここだけはゾーンなのだ。
この2人を含む3バック+アンカーの後方部はマークの受け渡しを行う。人にはついているが守り方はゾーンに近い。かつてジェフ市原・千葉を率いたオシム監督はマンツーマンディフェンスを導入して成果をあげたが、後方部の選手だけ異なる色のビブスを付けてマークを受け渡すトレーニングをしていた。