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2025年に入ってからリーグ戦負けなしのローマ。クラウディオ・ラニエリは混乱状態に陥っていたクラブを完全に蘇らせてみせた。しかし、疑問が生じる。果たしてどのような手を使って? 若手監督の台頭が目立つここ最近のサッカー界だが、約40年の指導者キャリアを持つ73歳だからこそできる、その方法とは。(文:佐藤徳和)
クラブを蘇らせたクラウディオ・ラニエリ。2025年はここまでリーグ戦無敗
【写真:Getty Images】
スタディオ・オリンピコ上空は、鉛色の空から澄みきった青空へと一変した。ローマはセリエAで、第14節のアタランタ戦に敗れ、15位まで順位を落としたが、2025年に入ってからは不敗。勝ち点は46となり、7位にまで浮上した。
直近ではリーグ5連勝を果たしている。これは、エウゼビオ・ディ・フランチェスコが指揮した17/18シーズン以来のことだ。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝で、バルセロナを大逆転の末に葬り去ったあの歴史的なシーズンである。4位ユヴェントスとの勝ち点差は6にまで縮まり、シーズン序盤に今季もまた諦めざるを得ないと思われたCL出場権に手が届くところまで巻き返している。
廃車寸前の車のようにボロボロだったチームを見事に蘇らせたのは、言うまでもなくイヴァン・ユリッチの後任として、第13節からチームを指揮するクラウディオ・ラニエリ監督の手腕によるものだ。“アッジュスタトーレ(修理工)”の異名を持つラニエリは、就任当時に年齢が不安視されていたが、御年73歳となった今もその腕前に衰えはなかった。
ラニエリが最初にサポーターに呼びかけたのは、チームの柱である、ブライアン・クリスタンテ、副主将のジャンルカ・マンチーニ、そして主将のロレンツォ・ペッレグリーニへの容赦ないブーイングの制止だ。ボールを持つたびに向けられたブーイングは、異常な光景だった。