“アンタッチャブル”な存在の絶対的エース
昨晩のサッカルーズの中国戦の快勝は、まさに、“It’s ティム・ケーヒル・ショー”だったと言っても異論は出まい。
試合後の会見で、アンジ・ポスタコグルー監督は「彼(ケーヒル)のキャリアに関して、特段、何かを付け加えて話す必要はない。その素晴らしいキャリアは、彼自身の活躍によってしっかりと知れ渡っている。もしかすると、そのキャリアのベストは、これから先にやってくるかも知れないのだが…」と、ケーヒルについて本人を横にして語った。
あまり特定の選手を公で賞賛することをしないポスタコグルー監督が、35歳を迎えて、なお成長を見せるケーヒルに賛辞を直接送ったこのシーン。就任以来、遮二無二に世代交代を推し進めてきたポスタコグルー監督が、ただ一人だけ“アンタッチャブル”な存在のまま据え置いた絶対的エースのチーム内での存在の大きさが伝わってくる非常に印象的な光景だった。
そんな監督の言葉にも、当の本人は、いつものクールな表情を崩さず、自らのスーパーゴールでの引き寄せた勝利にも浮かれる素振りはまったく見せない。
「自分が、まだゲームを変えられる存在でいることは分かっている。自分自身の(キャリアの)シナリオは自分で書けるし、まだまだオーストラリアのサッカーに良い影響を与えられると思っている」と力強く語り、内外の多くの報道陣を前にしての事実上の代表キャリア継続の明言とあいなった。
この日のケーヒルが試合を通じて完璧な出来だったのかといえば、決してそうではない。前半は、なかなかボールに触れることができず、前線で体を張る彼が大きな身振りで味方にボールを要求する様子がモニターに何度も大写しになった。
本人も会見では「前半は中国の守備が良くて、1回しかボールに触れなかった」と、フラストレーションの溜まった前半の展開について、誇張表現を交えて振り返った。