中国戦で活躍も反省する柿谷
21日の東アジアカップ中国戦で1ゴール1アシストの華々しいA代表デビュー戦を飾った柿谷曜一朗。U-19代表を最後に日の丸から遠ざかり、雌伏の時を過ごしていた男にとっては、感無量のゲームだったはずだ。
しかし、本人の口をついて出た言葉には喜びはなかった。「トラップミスとかシュートミスとかポジションミスとか自分の中のミスが多すぎた。2日しか準備期間がない中でここまでできたのはいいことなのかもしれないけど、勝ちにつながっていない。
やるからには絶対勝ちたかったし、そのためのプレーっていうのは全員が全力でやっていたから。自分自身もチームが勝てないゴールを取っても喜べない。次の2試合ではこういうミスをホントになくして勝ちたい。優勝して帰りたいです」と白星を逃したことを心から悔やみ、その責任をひしひしと感じていたのだ。
幼い頃から天才と言われた柿谷は「自分が思った通りに全部やりたい。カッコええプレーをしたい」とエゴを押し出す傾向の強い少年だった。
だが、徳島ヴォルティスにレンタル移籍した3年間でフォア・ザ・チーム精神の重要性を学び、古巣・セレッソ大阪に戻ってからは世界へ飛躍した香川真司や清武弘嗣から刺激を受け、献身的守備の大切さを頭に叩き込んだ。
そしてエースナンバー8を背負った今季は勝利の責任をより強く感じながらプレーするようになった。だからこそ、初キャップとなった中国戦で自身のゴールの喜びを感じるよりも、引き分けという厳しい結果を最優先に考えたのだろう。
【次ページ】理解しつつある仲間のプレースタイル