不安材料の多かった栗原だが収穫も
3-3で引き分けた中国戦からスタメンの全員を入れ替えた豪州戦は、大迫の2得点などで3-2と記念すべき勝利を飾ったが、またしても2失点を喫した。中でもセンターバックは90分をゼロに抑えてこそ評価されるポジションであり、そのことは選手たちも強く認識している様子だ。
しかし、今大会を新戦力のチェックと割り切れば、個々の持ち味は出しており、ザッケローニ監督から見ても高く評価するポイントはあったはず。まだ韓国戦を残すが、ここまでの筆者のセンターバック評を簡潔にまとめてみたい。
ザックジャパンの常連である栗原勇蔵は体調を崩した最終予選、コンフェデからの名誉挽回を期待されたが、先発した中国戦は個の対応でミスが目立ち、守備陣を助けるどころか足を引っ張ってしまった部分もある。また強みであるはずの空中戦も競りに行くタイミングが悪く、結果として不利な体勢になるケースが多いのは不安材料だ。
それでも豪州戦の途中からコンビを組んだ鈴木が「疲れてきて苦しい時間帯で、ラインが下がっているところを勇蔵君がうまく『ちょっと上げろ』と言って、自分が上げるだけじゃなく、俺らが上がった後に付いてきてくれる気遣いをしてくれた」と語る様に、守備陣を鼓舞しながら、周りに動きを合わせることもできる点が見られたのは今大会の収穫だ。今後、Jリーグでしかり試合勘と本来の強さを取り戻せば有力候補であることは間違いない。
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