トップ下で輝いた香川
初戦のパレスチナ戦は遠藤が交代で退いてから攻撃が上手くいかなかったが、イラク戦では遠藤と今野の交代から盛り返した。今野と長谷部が2ボランチを組み、香川をトップ下に移動した4-2-3-1に切り替えると、香川のプレーが冴えはじめた。
前半に本田のPKでリードした後の日本は、少し引いてカウンターを狙っていた。このあたりのはっきりした試合運びはアギーレ監督らしさかもしれない。ただ、守備は安定していたがカウンターのほうは不発だった。
引いたときには4-1-4-1になる日本は、自陣ではセーフティーにロングボールを使う。これはアギーレ監督になってから一貫している。そこでポイントになるのは1トップなのだが、岡崎は相手より先にボールに触る能力が高く、この点では問題ない。ところが、岡崎が触ったボールを押し上げて拾う選手がいなかった。
4-2-3-1にフォーメーションを変え、香川が岡崎の近くにポジションをとるようになると、とたんに日本のカウンターは形になっていく。後半20分には、岡崎が落としたボールを香川が拾ってカウンターになり、最後は本田のシュートがポストを叩いた。その後も香川を中心とした際どい攻め込みが続き、イラクはつかみかけていたリズムを完全に失った。
岡崎1人を前線に残すよりも、香川を近くに置いてサポートさせたほうがカウンターは形になる。香川を前へ出すかわりに今野をボランチに置いて守備の保険をかける。リードした場合の戦い方の回答を得たのではないだろうか。
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