柿谷、高萩にパスを供給した青山
東アジア杯で、選手たちに与えられた条件はかなり過酷なものだ。なにしろ、このわずかな期間で結果を出さなければならず、それも及第点ではなく、目に見える形での圧倒的な内容が求められている。さきの中国戦も、試合運びの拙さはあったものの、これから強化に着手する段階であれば見るべき点の多い試合だった。
しかし、ブラジルW杯までの準備期間はすでに1年を切っている。日本代表はチームとして完成しつつあり、今回のメンバーに課せられたのは“その枠内でチームに+αをもたらせるかどうか”だ。つまり、自分が持っている能力や特長を発揮することが第一なのではなく、あくまでもザックジャパンの一員としてのプレーが求められているのである。
それを聞くと、窮屈さを感じてもおかしくない。だが、当の選手たちは当然のことと捉えていた。
「100%コンセプトをやりつつ自分を出す、ということだと思う。“ある程度”ではない。監督の言うことを100%やりたい」
そう答えたのは、本来であれば遠藤保仁が演じている役割を担った青山敏弘だ。まずは、コンセプトありき。それを理解するために与えられた時間は、韓国入りしてから行われたたった2日間の戦術練習だけだったが、適確にパスを配球しながらゲームを落ち着かせ、ときに楔のパスを打ち込む役目を、まずまず果たしていた。
中国戦では、柿谷曜一朗と高萩洋次郎の二人が見る者をワクワクさせてくれたが、彼らに好パスを供給していたのが青山だった。
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