「世代交代」の信念を貫いた指揮官
サッカルーズが、自国開催のアジアカップの開幕戦で、久々に会心の試合をやってのけた。
この試合は、前半8分、コーナーキックで相手選手のマークの受け渡しの間隙を突かれてまさかの先制点を許す苦しい展開でスタートした。前半のいきなりの失点と気負いもあって、試合の当初はどことなく落ち着かない試合運びが見られたものの、徐々にペースを掴む。まずは、前半33分、またも千両役者ティム・ケーヒルのゴールで同点に追いつく。その後、44分にも若手MFのマッシモ・ルオンゴのケーヒルのお株を奪うようなヘディングでのゴールで一気に逆転に成功する。
後半に入っても勢いが衰えないサッカルーズは、後半17分にキャプテンのミレ・ジェディナックがPKを冷静に蹴り込み、さらには、試合終了間際には、MFジェームズ・トロイ―ジが駄目押しのゴールを挙げて、中東の曲者クウェートを4-1でねじ伏せた。
と、ここまで試合を簡単に振り返ったが、この夜の試合では、アンジ・ポスタコグルー監督の揺るがぬ「世代交代(regeneration)」の信念に基づく象徴的な選手起用が3つほど見られた。思い切った選手起用や交代策で、この日のメルボルンのホームの大観衆は、サッカルーズの「世代交代」がひとつの完了形に近づきつつあることを目の当たりにしたとも言える。
【次ページ】若手を抜擢した指揮官とそれに応えた選手達