「もっともっと良くなる」。意欲に満ちていた復帰直後
心は、折れかけていたのかもしれない。
「こんな厳しい状況になるとは、ちょっと想像していなかった」
CLグループD最終戦、ホームでのアンデルレヒト戦の後で、香川真司はそう口にした。2014年12月9日、ドルトムントはCLでこそグループリーグを首位通過したものの、リーグ戦では14節を終えて4勝2分8敗の14位と低迷していた。
一歩一歩、順調に階段を登っているようだった。マンチェスター・ユナイテッドからボルシア・ドルトムントへと電撃的に帰還した香川真司は、復帰後初戦となる9月13日、ブンデスリーガ第3節のフライブルク戦で1ゴールと早々に結果を残す。
一方で、64分にはピッチを退いた。まだコンディションは万全とは言い難かった。
続く20日の第4節マインツ戦でも、65分に途中交代となっている。それでも試合を終えたときには、香川は「今日はもう感覚的には良かった」と振り返っている。
「(プレーの)精度を試合を追うごとに上げていかなきゃいけない」、「自分のコンディションも、もっともっと良くなると思っている」、「次の試合に向けてどんどんもっとやって行きたい」
かつて慣れ親しんだとは言え、マンチェスターとはまた違う環境に飛び込んで来た香川は、再び輝きを放とうとする意欲を言葉の端に残した。
その後も「感覚的には良かった」という言葉が示す復調の気配は、継続的に形となっていく。
9月27日第6節シャルケとのルール・ダービーは、1-2というスコアの中で57分からの途中出場となったが、内田篤人も「他の選手の動き出しが早くなる」と評したように、鋭いターンを見せながら流れをドルトムントに引き寄せた。
続く10月1日、CLグループD第2戦のアンデルレヒト戦では、インモービレの先制ゴールへのアシストを皮切りに、香川は「凄く手応えがあった」90分間をフル出場し、マン・オブ・ザ・マッチに輝く。