老獪だったピルロ
――イタリア戦は、素晴らしい試合の入り方をして2点を先行しましたが、前半の終了間際に失点を喫しました。
「ほとんどイタリアは攻撃の糸口がない時間帯でした。日本は2対0で調子に乗っていた。それとあの時間帯。前半の最後の終わり方ですね」
2点を先行されたイタリアに得点の匂いがなかった時間帯。だが、イタリアは何気ない縦パスにバロテッリが猛然と反応すると日本の守備陣に競り勝ち、その流れの中からコーナーキックを得る。
「ピルロは老獪だよね」
日本の選手たちの準備が整っていないときにピルロがキックモーションに入る。
「選手たちが水を飲んだりしているときに素早くコーナーをリスタートさせた。それで不意を突かれたのか、長谷部は自分のマークが後ろから入ってくるのをわかっていない。気づいたときには前に入られている。もちろん、ここにピンポイントで合わせるピルロもすごいし、合わせたデロッシも信じて走り込んできている」
――代表のコーナーキックの守り方で多いのがニアに壁をつくって、中央はマンツーマンで守るというものです。
「マンツーマンで守るチームに多いスタンダードな守り方ですね。僕はニアの壁に入る選手をブロッキングプレーヤーと呼んでいるんだけど、そこには背の高い選手を置く。日本代表でいえば前田が担当している。ここでガツンと合わせられるとキーパーも届かないので怖いから抑えるんです。それで残りの選手はマンツーマンで守る」
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