替えが効かないエース
「誰が出ても変わらないサッカー」。昨年の就任当初から、指揮官は特定の選手に依存しないチーム作りを進めてきた。
加地が電撃退団すれば、米倉が台頭し、西野が世代別代表でチームを離れれば丹羽が奮闘。岩下が出場停止ならば、金がその代役をこなしてみせるなど、チームの底上げは確かになされたG大阪。そんな三冠王者にあって、唯一替えが効かないパーツだったのが宇佐美というエースの存在だ。
「自分がエースとしてガンバにタイトルをもたらしたい。その覚悟はある」。開幕当初は負傷で出遅れ、ワールドカップブラジル大会に向けてのラストアピールの場も失った恰好の背番号39だが、中断明け後のリーグ戦では名実ともにエースとして稼働。J1では自身初の二桁得点をマークし、初のベストイレブンにも名を連ねた。
もっとも22歳の和製エースはベストイレブンの肩書きにも満足はしていない。「自分自身の理想とか、目標にはほど遠い数字だった」(宇佐美)。確かにその得点の大半が下位チーム相手から奪ったもので、リーグ戦の終盤には7試合得点から遠ざかっていた時期があるという反省材料はあるとしても、得点以上の存在感を見せたのが今季の宇佐美である。
「本当ならパトに何点お膳立てしていたか分からない」と冗談まじりにパトリックが逃したイージーシュートを振り返る宇佐美だが、二川の芸術的タッチとはまた質を異にするピンポイントのスーパーパスで、パトリックの持ち味を最大限に引き出した。
「貴史は得点がないときでも、チームへの貢献度が高かった」と遠藤が評するのは社交辞令ではなく、もっともである。
三冠エースとして各チームからより厳しいマークを受ける来季、宇佐美はよりその真価を問われるシーズンとなるが、22歳のエースは「来年は胸を張ってベストイレブンだぞと言えるようにしたい」と既に2015年シーズンを見据えている。
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