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現在の湘南ベルマーレの戦い方は、これまでの「湘南スタイル」とは一線を画すものかもしれない。今季も残留争いの渦中にいるが、数年前とは確実に状況が異なる。山口智監督の下でボール保持という設計図を手にした湘南ベルマーレに、どういう変化が起きているのか、戦術的な視点から分析する。(文:らいかーると)
「湘南らしさ」とは
第三者からすると、湘南ベルマーレといえば曺貴裁監督の時代のサッカーの印象が強いのではないだろうか。
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「縦志向」の強いボール保持と、アグレッシブな姿勢を見せ続けるボール非保持こそが「湘南スタイル」であり、誰が名付けたか「湘南の暴れん坊」、特に「暴れん坊」を象徴するかのようなハードワークを基調としたサッカースタイルは、「湘南らしさ」として第三者に強烈に印象を植え付けられたものだった。
自分たちがどのようなサッカーをするかアナウンスすることは大切なことだ。一方で、そのアナウンスに縛られすぎてしまうことは、自分たちが作った檻の中でもがいているようなものである。
90分のなかで、必要とされる局面は多種多彩な状況になっている。ときにはボールを保持する必要もある。ときには相手からボールを奪い返すために相手陣地からのプレッシングを行う必要もあれば、相手にボールを渡し、ゴール前にバスを停めるほうが効率的なことだってあるだろう。
状況に応じた臨機応変な振る舞いによって、結果が必ずついてくるわけでもないところにサッカーの複雑さが現れている。自分たちのスタイルと異なる論理的な振る舞いが結果を連れてきてくれない場合は、「湘南スタイルと異なるではないか」と場が不安定になる可能性だってある。
違うんだ、湘南スタイルはハードワークこそにその真髄があると言ったところで、抽象的であればあるほど、自分たちのスタイルをアナウンスする意味はなくなるだろう。
7月の快進撃と、8、9月の少しの停滞を終えた湘南ベルマーレは、残留争いの真っ只中でありながらも、降格圏からの脱出には成功している。ぼくらが想像しているような「湘南スタイル」はとっくの昔になくなっていたのだろう。湘南ベルマーレのチャレンジについて、今回はみんなで考えていきたい。