マイケル・ガルシア氏が辞任を発表【写真:Getty Images】
これは、2022年カタールW杯が無事に開催される布石となってしまうかもしれない――。
2018年と2022年W杯における不正招致疑惑を調査する、FIFA倫理委員会関調査局のトップ、マイケル・ガルシア氏が辞任を発表した。17日の英紙『ガーディアン』が伝えている。
ガルシア氏は、招致活動での不正が疑われている両W杯の調査を進めていた。特にカタールW杯に関しては、UEFA会長のミシェル・プラティニ氏と、当時のフランス国大統領ニコラ・サルコジ氏がフランスへの多額の、多方面にわたる融資などと引き換えにカタールへの投票を約束。
さらにFIFA会長のジョセフ・ブラッター氏も、プラティニが次期FIFA会長に立候補した際にはブラッターが彼を全面支援し、プラティニはブラッターをFIFA名誉会長とする、という“カタールゲート”と呼ばれる密約疑惑がある。カタールもプラティニへの後押しを約束するなど、多くの疑惑がある。
これらについてガルシア氏はレポートを作成。FIFAはそのレポートに関する42ページの要約を公開したものの、FIFA裁定部門トップのハンス・ヨアヒム・エッカート氏はおよそ1ヶ月前、このレポートを「不完全で事実と異なる」として批判した。
ガルシア氏は自身の430ページに及ぶ不正疑惑に関するレポート内容が「歪曲して伝えられている」と異議申立てを行ったが、FIFAの上訴委員会がこれを却下したのだ。エッカート氏は、2018年、2022年のW杯開催は妥当と主張している。
数々の疑惑を浄化するのではなく、自ら蓋をする姿勢にガルシア氏もついにさじを投げた。辞任を発表、調査は暗礁に乗り上げた。
時期会長選でブラッター氏の対抗馬と見られているジェローム・シャンパーニュ氏は、「一歩後退」とFIFAのやり口を批判。プラティニ氏も「新たな失態」と発言したが、内心胸を撫で下ろしていることだろう。
フランスを巻き込んだ“カタールゲート”への追及は、一旦停止してしまった。今後も組織が透明化されないのであれば、疑惑を抱えたまま2022年にW杯はカタールで開催されることになってしまう。
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